ネオニコチノイド系農薬・斑点米関係にもどる

n04002#斑点米対策のネオニコチノイド使用は、あいかわらず〜秋田県八郎湖の汚染事例が明らかに#21-07
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  反農薬東京グループのネオニコチノイド系農薬・斑点米関連記事一覧はこちらです。表のトップにあげた脱農薬ミニノート<ミツバチは農薬が嫌い><農薬も一緒に食べる?〜クロチアニジン残留基準の大幅緩和>や、パンフレット「知っていますか? 斑点米と農薬とミツバチ大量死も参考にしてください。

【関連サイト】第29回日本環境化学討論会:プログラム(口頭発表ポスター発表Web 口頭発表)
 秋田県立大木口倫(おさむ)さんら:WO-066 C000237 八郎湖流域における浸透移行性殺虫剤とその代謝物の濃度レベルと地点分布

 農水省は、5月に「みどりの食料システム戦略」を公表し、農薬使用の削減方針をしめしましたが(記事n03901参照)、具体的な脱農薬への取組み策やその実行スケジュールもみられません。住民被害の多いクロルピクリン、神経毒性などが問題となっている有機リン剤やネオニコ剤が、いまだ多用されている現状に、まず、メスをいれるべきなのに、なんらの対応策もとられていないのでは、同省の真意が疑われます。
 今年の6月1日から3日に、大阪の千里ライフサイエンスセンターで実施された第29回日本環境化学討論会で発表された報告で、斑点米対策として、依然として、ネオニコチノイド系農薬らが使用しつづけられていることが、明らかになりました。
 生産者は、変色粒が1000粒に1以上含まれると買い叩かれます。変色は、斑点米カメムシによるとされ、精米工程や色彩選別機でも十分対応できるにもかかわらず、カメムシ対策として、生産段階の水田で、ネオニコチノイド使用が依然として、つづいており、環境を汚染し、米にも残留してくるのです。わたしたちは、このようなカメムシ除去のネオニコ散布をやめることを、しつこく、求めつづけているのに、農薬メーカーのいいなりである農水省の姿勢はかわりません。

★ネオニコの水田使用で、八郎湖の水系汚染状況が明白になった
 昨年、コロナのために、実施出来なかった日本環境化学討論会は、第29回が、6月1日から3日に、大阪の千里ライフサイエンスセンターで実施されました。
 同討論会でWEB口頭発表された、秋田県八郎湖でのネオニコチノイド等の親農薬とその代謝物の汚染状況について紹介します。
 従来からネオニコチノイド等の水系汚染の報告がなされてきましたが、秋田県立大学生物資源科学部の木口倫さんほかの研究で、親農薬だけでなくその代謝物の汚染状況の一端があきらかになったのです。これらの農薬類が、八郎湖等の底質にどのような形で残留しており、また、それらが水系生物にどのように影響をあたえているかの調査はこれからの問題です。当該農薬の使用をやめることによって、生態系がどのように変化するかの調査も必要です。

 八郎湖は、秋田県にある八郎潟を干拓した後に残った調整池、20あまりの河川や干拓地を通る水路からなる水域です。   秋田県立大の木口倫さんらは、『近年,国内では浸透移行性殺虫剤による湖沼生態系への悪影響が懸念されている)が,湖沼における本殺虫剤の知見は河川に比べて限られている。ここでは,八郎湖流域(湖内水域と流入河川下流域)を対象に浸透移行性殺虫剤と代謝物の実態把握を行ったので報告する。』として、流入河川水と湖内水域のネオニコチノイド等の親農薬とその代謝物の分析調査がなされました。  その要旨は下記のようでした。

 −八郎湖流域における浸透移行性殺虫剤とその代謝物の濃度レベルと地点分布   ○木口 倫 1,吉田 真 2,斎藤 康樹 2,岡野 邦宏 1,西川 裕之 2,橋政之 2,宮田直幸 1    (1 秋田県立大学生物資源科学部,2 (株)秋田県分析化学センター)
 【方法】
    調査対象地点:湖内水域では用・排水機場 3 か所を含む 10 地点,            流入河川では主要 5(豊川、三種川、馬踏川、馬場目川、                      井川) 河川の下流域5 地点     調査時期: 2020年6月と8月に各月1回     調査対象殺虫剤:親農薬10種とその代謝物4種で、           ネオニコチノイド系:Gr1,           フェニルピラゾロール系:エチプロールやフィプロニル           ピリジンカルボキシアミド系:Gr3           【調査結果】    ・検出農薬名:Gr2 は、ジノテフラン,イミダクロプリド,チアクロプリド,チアメトキサム,クロチアニジン         Gr2 はエチプロールとフィプロニルが検出され,Gr3 は不検出。    ・検出率:ジノテフランが湖内と流入河川ともに 100%で最も高かった。        代謝物はチアクロプリドアミドのみが検出,        検出率は湖内では 45%,流入河川では 60%であった。    ・同時期に行った流入河川調査では,親農薬のチアクロプリドとチアクロプリドアミドが        ほぼ同レベルで検出 →河川流下過程での分解・生成が関与していると推察される    ・検出濃度(中央値)は 8月のジノテフランが最も高く,湖内では 1300 ng/L,     流入河川では 600 ng/L であった。     その他はジノテフランに比べて 1~2 桁オーダーが低かった。    ・総濃度でみると,6月は湖内よりも流入河川の複数地点で濃度が高かったが(75-300 ng/L)、     8月は流入河川よりも用・排水機場とその近傍地点で濃度が高く(1400-2300 ng/L),     干拓地内から湖内へ流出する農薬の寄与が大きいことが示唆される。


作成:2021-07-30