農薬の毒性・健康被害にもどる
t01503#ＥＰＡが公表した発ガン性農薬のリスト#93-07
昨年夏、カリホルニア州の裁判所で、ＥＰＡ（環境保護局）の発癌性農薬の残留規制緩和政策−１００万人にひとり程度の発癌の危険のある残留を許容する−が、加工食品中に発癌物質が検出されてはならないとする法律−デラニー条項−に違反するとの判決が下だされました（てんとう虫情報第９号１９頁）。
今年２月に、これに対する控訴審で、アメリカの最高裁判所は、先の判決を支持する決定をし、ＥＰＡは、発癌農薬の残留をゼロとする政策をとらざるを得なくなりました。
現在、ＥＰＡは表に示すような３２の発癌性農薬を公表していますが、これらすべてにデラニー条項が適用されると、農薬業界が大きな影響を受けることは必定です。
この問題を最初に提起して訴訟をおこしたＮＲＤＣ（天然資源保護協会）は、発癌農薬リストはさらに増えるだろうとしています。
クリントン政権や議会の中にはデラニー条項そのものを改定しようとする動きもあり今後、予断を許せません。残留ゼロを主張する消費者団体とのせめぎあいが、注目されます。
ところで３２の発癌性農薬の中の３０種は、日本でも過去に登録されていたり、現在使用されているものです。それらについての毒劇物の区分、魚毒性、９１年の単剤出荷量を表に示しておきます。
農薬名のところの＃マークは発癌性があるにもかかわらず、日本の厚生省が残留基準数値を設定しているものです。その他の発癌性農薬は残留基準すら設定されないまま、ひろく使用されています｡
表 ＥＰＡが公表した発癌性農薬リスト
農薬名 主な商品名 用途 毒劇区分 魚毒性 単剤出荷量
BPPS ｵﾏｲﾄ 殺虫剤 指定なし C 229 ﾄﾝ
CAT ｼﾏｼﾞﾝ 除草剤 指定なし A 3698
DDVP(ｼﾞｸﾛﾛﾎﾞｽ)# ﾃﾞｽ､VP､ﾊﾞﾎﾟﾅ 殺虫剤 劇物 B 988
MDBA(ｼﾞｶﾝﾊﾞ) ﾊﾞﾝﾍﾞﾙD 除草剤 指定なし A 13
PCNB(ｷﾝﾄｾﾞﾝ) ｺﾌﾞ､ｱｰｽｻｲﾄﾞ､ﾍﾟﾝﾀｹﾞﾝ 殺菌剤 指定なし A 5440
TPN(ｸﾛﾛﾀﾛﾆﾙ)# ﾀﾞｺﾆｰﾙ 殺菌剤 指定なし C 3021
dimethipin 登録なし 除草剤
oxyflurofen 登録なし 除草剤
酸化ｴﾁﾚﾝ ｴﾎﾟﾝ､ｴｷﾎﾟﾝ 殺虫剤 指定なし A 1*
ｱｼｭﾗﾑ ｱｰｼﾞﾗﾝ､ﾛﾚﾎﾞｯｸｽ 除草剤 指定なし A 439
ｱｾﾌｪｰﾄ# ｵﾙﾄﾗﾝ 殺虫剤 指定なし A 6382
ｱﾄﾗｼﾞﾝ ｹﾞｻﾞﾌﾟﾘﾑ､ｸｻﾉﾝP 除草剤 指定なし A 138
ｱﾗｸﾛｰﾙ ﾗｯｿｰ､ﾊｰﾋﾞﾉﾝ 除草剤 指定なし B 545
ｷｬﾌﾟﾀﾝ# ｵｰｿｻｲﾄﾞ 殺菌剤 指定なし C 681
ｼﾞｺﾎﾙ# ｹﾙｾﾝ 殺虫剤 指定なし B 169
ｼﾞﾒﾄｴｰﾄ# ｶﾐｷﾘﾝ､ｼﾞﾒﾎｽ 殺虫剤 劇物 B 2299
ﾁｵﾌｧﾈｰﾄﾒﾁﾙ ﾄｯﾌﾟｼﾞﾝM 殺菌剤 指定なし A 1768
ﾄﾘｱｼﾞﾒﾎﾝ ﾊﾞｲﾚﾄﾝ 殺菌剤 指定なし B 251
ﾄﾘﾌﾙﾗﾘﾝ ﾄﾚﾌｧﾉｻｲﾄﾞ 除草剤 指定なし Bs 6247
ﾉﾙﾌﾙﾗｿﾞﾝ 登録失効 除草剤 指定なし A -
ﾍｷｻｼﾞﾉﾝ ﾍﾞﾙﾊﾟｰ 除草剤 指定なし A 38
ﾍﾞﾉﾐﾙ ﾍﾞﾝﾚｰﾄ 殺菌剤 指定なし B 382
ﾍﾟﾙﾒﾄﾘﾝ# ｱﾃﾞｨｵﾝ､ｽﾐﾅｲｽ 殺虫剤 指定なし C 171
ﾎｽﾒｯﾄ(PMP) ｱｯﾊﾟｰ 殺虫剤 劇物 B 1094
ﾏﾝｺｾﾞﾌﾞ(ﾏﾝｾﾞﾌﾞ) ｼﾞﾏﾝﾀﾞｲｾﾝ 殺菌剤 指定なし B 3494
ﾏﾝﾈﾌﾞ ｴﾑﾀﾞｲﾌｧｰ 殺菌剤 指定なし B 1593
ﾒｿﾐﾙ ﾗﾝﾈｰﾄ 殺虫剤 劇物 B 977
ﾒﾁﾀﾞﾁｵﾝ(DMTP) ｽﾌﾟﾗｻｲﾄﾞ 殺虫剤 劇物 B 758
ﾒﾁﾗﾑ 登録失効 殺菌剤 指定なし B -
ﾒﾄﾗｸﾛｰﾙ ﾃﾞｭｱｰﾙ 除草剤 指定なし B 10
ﾘﾆｭﾛﾝ ｱﾌｧﾛﾝ､ﾛﾛｯｸｽ 除草剤 指定なし A 153
ﾘﾝﾃﾞﾝ(γ-BHC)# 登録失効 殺虫剤 劇物 C -
*:臭化ﾒﾁﾙとの複合剤
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作成：1998-04-01