食品汚染・残留農薬にもどる
t01609#減らすべき子供の農薬摂取:EPAが警告#93-08
 今年の5月末、アメリカEPA(環境保護局)は農薬使用を減らしていくよう検討する旨言明するとともに、FDA(食品医薬品局)や農務省も食品の安全性を改良する行動計画を明かにしました(たとえば、農薬の神経系、免疫系、内分泌系らへの影響を試験する方法の開発や、残留農薬のより包括的な調査など)。
 これは、全米研究会議(NRC)と環境ワーキンググループ(EWG)による子供の食事中の農薬に関する2つの報告書の内容をふまえたものでした。
 これらの報告は共通して、子供たちは毎日残留農薬をたべており、不相応な農薬にさらされている、また、彼らは大人より農薬の影響を受けやすいことを述べています。NRCの研究報告では、連邦政府の農薬に関する意志決定の過程で、人、特に幼児や子供の健康を守るための注意が十分払われていないことが指摘されています。
子供は大人より少ない種類の食物を食べる傾向にあり、体重当たり限られた食物を大人よりも多く食べることになるにもかかわらず、基準設定に際し、全人口の平均摂取という単一の数値を使用していること、子供の体が外界の物質に対して大人と異なった反応をする点を配慮していないこと等を問題視しています。
 NRCの研究者は、医薬品に対する子供の反応から類推すれば、子供は恐らく多くの農薬に対して影響をうけやすいとい思われる、その結果、少なくともいく人かのアメリカの子供はその食事の中で、安全とはいえない量の農薬を摂取していだろうという懸念が生ずるとしています。
 EPAが食物から農薬のADI(一日許容摂取量)を決める時には、人がさらされる農薬の総量を評価するために、水、空気、土壌、芝生、室内表面からの農薬の暴露を含めるべきであるのに、農薬を食物のみから摂取すると仮定している点をも批判しています。
 さらに、人のADIを決める際に、成育途上の胎仔に影響を示さない農薬について、EPAは現在動物に対して悪い影響を与えない農薬の最大量に安全係数100分の一を乗じているが、このなんら影響を与えない量は、子供に対しては、さらに10分の一の1000分の一の安全係数を乗ずるべきであり、特に有機リン剤とカーバメート剤の累積暴露量を減らすことが重要であるとコメントしています。
 また、EWGの研究者は、FDAの食物試料で、子供の食事の大きな部分を占める22の食物に全部で108の農薬が検出されており、試料の半分以上に少なくともひとつの農薬が残留していたとし、子供らは、5才までに、いくつかの発癌性農薬による生涯発癌危険量の25ー35%を蓄積する、この危険性は容認出来ない大きさであると考えると述べています。そして、EPAがとりうるもっとも有効で、容易な方法は子供たちの食事に一様に見出だされる十数種の農薬を禁止することであるとしています。

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作成:1998-04-01