食品汚染・残留農薬にもどる
t02309#「乳幼児及び子供の食べ物中の農薬」の提起する問題点(4,5)#94-03
(4)複数の農薬摂取の評価
 子供たちが食べる食品には複数の農薬が含まれています。環境ワーキンググループの報告では、アメリカの子供たちが好んで食べる食品に残留している農薬数別の検出率は図−略−に示す通りです。グラフは、例えば桃の76%に1から5種以上の農薬が検出されており、そのうち41%は1種の農薬が残留していたということを表わしています。 表 若年齢の子供がよく食べる食品中の残留農薬数別検出率−略−
 実際に、子供たちは複数種の食品から複数の農薬を摂取しています。そのため農薬摂取による危険性を評価するのに、個々の農薬についてのみ眼を向けている、いままでの方法は十分といえません。少なくとも同じ作用機構を有する農薬をひとまとめにして、その毒性を評価する必要があります。
 NRCレポートでは、まず、共通の作用機構を有する個々の物質の毒性等価因子を選定し、これに、個々の農薬の実際の残留レベルを乗じ、その結果を加算することにより全残留農薬量を算出する方法を提示しています。
 例として、コリンエステラーゼ活性阻害という共通の機構で作用する有機リン剤がとりあげられました。アセフェート、クロルピリホス、ジメトエート、ジスルホトン、エチオンの5種の有機リン剤を選び、各農薬についてその無作用量を基準にしたクロルピリホス換算係数を設定した上、8種の食品(リンゴ、オレンジ、ブドウ、マメ、トマト、レタス、モモ、洋ナシ)でのクロルピリホス等価残留値と消費量を基に、2才児の場合についてのシミュレーションを行ないました。
 その結果、単独の農薬の残留値は、すべて一日摂取許容量以下であったにもかかわらず、5種の合計量では、1.3%の子供がクロルピリホスの許容量を越える値の農薬を摂取していることが明かになりました。これに子供たちがよく飲むジュース(リンゴ、オレンジ、ブドウ)の消費を加えると許容量を越える子供の比率は4.1%と高まりました。
 共通の機構で作用する農薬の合算した影響は、1農薬の個別的影響よりも大きいから、同じ種類のすべての農薬に対して、毒性等価因子を確立し、トータルとしてのリスクを算出するリスクアセスメント方法を発展させることは大切であると、NRCレポートは述べています。
(5)子供と発癌性農薬の摂取
 環境ワーキンググループの推算では、表に示したように、8種の発癌性農薬の5才までの取り込み比率は、一生涯にわたり平均的に摂取するとした場合の比率8%を上回っています。たとえば、キャプタンは5才までにその生涯摂取量の35%を取り込んでしまうことになります。
 NRCレポートが、人生の遅い時期での被曝にくらべ、早い時期での農薬の被曝は、長い潜伏期間が過ぎた後に現われる慢性的影響(癌、神経系や免疫系の障害)につながる危険性があると指摘していることも見逃せません。
 発癌性に関していえば、@人生の初期での発癌性物質の被曝は、より遅い時期の被曝よりも影響が大きい、A急速な成長発育段階にある組織は、成熟した組織より化学発癌性物質の影響を受けやすい、B特定の食品を体重あたり多く摂取する子供はおとなより危険性が大きいことなど、子供たちにとって憂慮すべき点があります。
 子供たちのよく食べる食べ物から、出来る限り発癌性農薬を除いていく必要があるというわけです。
表 発癌性農薬の5才までの取り込み率

  農薬名    取り込み比率
  キャプタン    35%        *エチレンチオウレア:ジネブなどのエチ
  ジコホール   32%          レンジチオカーバメート系農薬も含まれ
  ベノミル       29%          ている
  リニュロン      25%
  ペルメトリン    25%
  OPP          23%
  ETU*        18%
  TPN          12%

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作成:1998-04-01