環境汚染にもどる
t02404#輸入リンゴと農薬臭化メチルとオゾン層破壊の関係#94-04
農水省は、昨年、輸入禁止品になっているニュージーランド産のリンゴを解禁し、さらに、今年度中にもアメリカのリンゴを輸入解禁しようとしている。これらの地域は、日本で発生していない害虫のコドリンガが生息しているため、植物防疫法によりコドリンガが寄生するすべての生果実は輸入禁止になっている。
しかし、農水省は、植物防疫法施行規則の別表の記載を改定することで、むりやり、リンゴを輸入している。具体的には輸入禁止植物、区域を指定してある中に「但し、農林水産大臣が定める基準に適合しているものを除く」とするのだが、そもそも、植物防疫法の精神に反するものである。
また、問題なのは「農林水産大臣の定める基準」というのが、臭化メチルくん蒸であることだ。臭化メチルは本誌15号に詳しく記してあるが、オゾン層破壊ガスとして国際的な規制対象になっている農薬である。92年に開かれたオゾン層保護のための第4回モントリオール議定書締約国会議で、オゾン層破壊ガスとして規制対象に加えられ、とりあえず95年までに91年の実績で使用を凍結し、95年に規制を厳しくするための話し合いが予定されている。
日本では、今国会で、第4回締約国会議で決まったモントリオール議定書を批准する予定で、それに伴う国内法の改定が上程されている。
このような時期に、政府が新たに臭化メチル使用を義務づける今回の措置は、国際的なオゾン層保護運動に敵対するものであり、全世界から非難される可能性がある。
議定書会議では、臭化メチルの規制に関して国際的な合意が得られず「検疫くん蒸は除く」となっており、農水省はこれを盾にとって今回の措置を正当化しようとしている。しかし、93年に開かれた第5回モントリオール議定書会議では、臭化メチルの規制を急ぐためアメリカ、ヨーロッパなど15ヶ国が宣言を出している。特にアメリカは2000年までに臭化メチルを全廃すると公表している。
また、日本は世界一の食料輸入国であり、輸入された農産物も多くは臭化メチルくん蒸されている。今まで、臭化メチルくん蒸された農産物の安全性が問題にされていたが、今後は地球環境保護の立場からも、こうした状況を考え直していかなければならない。
なお、この問題に関して、日消連などが集会を開く。
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作成:1998-04-01