行政・業界の動きにもどる
t02506#環境庁が決めた「公共用水域等における農薬の水質評価指針」#94-05
去る4月14日、環境庁は農薬による水質汚濁の防止対策の一環として、空中散布農薬等一時に広範囲に使用されるもので水質環境基準健康項目や要監視項目となっていない27種の農薬について、「公共用水域等における農薬の水質評価指針値」なるものを設定しました。その数値は表−略−に示すとおりです(厚生省が定めたゴルフ場使用農薬に対する暫定水質目標値及び空中散布用農薬で要監視項目になっているものも同時に示した)。
同庁は、水質評価指針値について以下のように述べています。
「この指針値は、これまでに集約された科学的知見等を基に、水質環境基準健康項目や要監視項目の設定の考え方と同様に、主として人の健康の保護の観点から設定したものである。従って、指針の達成状況の評価については年間平均値で行なうべきものであり、一時的にこの指針値を超過することがあっても直ちに健康に影響があると言うものではない。 しかし、特に水道水源として利用される公共用水域等において一時的に指針値を超過した場合には、都道府県等において農薬による水質汚濁の未然防止の観点から速やかにその原因の究明を行なうとともにその後の推移を的確に把握しつつ適切な対策を検討するものとする。
また指針値は、水道利用に配慮した公共用水域等における水質の汚濁の状況を評価する際の目安を定めるものであるため、ゴルフ場や水田等農薬が使用される場所の周辺であって農薬の使用時に一時的に高濃度になることが予想されるような場所においては、本指針値の設定の考え方等を十分に考慮して測定値を評価する必要がある。」
さらに、指針値対象農薬の測定については、環境基準等対象農薬のように「公共用水域等で定期的に又は体系的に水質測定を行なうことを前提とするものではないが、公共用水域等での測定にあたっては当該水域を代表する地点において複数回測定することが望ましい」としています。
指針値設定の根拠となる各農薬のADIなどは公表されておらず、クロルピリホス、トリクロホスメチル、ペンディメタリンのように、厚生省のゴルフ場使用農薬の暫定値よりも高く設定された農薬がある点にも疑問が残ります。
今回、「公害対策基本法」にもとづく、水質環境基準や要監視項目としないで、あらたに「水質評価指針値」なるものをつくったのは、間近にひかえた農薬空中散布のシーズンを前に、散布地域での水源汚染が生じた場合の住民に対する言い訳として、例によって国が決めた指針値以下だから大丈夫だとのお墨付きを与えるため付け焼き刃的施策のような気がします。住民から何の要求もなければ、行政は測定しないと思われますから、どしどし水質の分析測定を要求していきましょう。ちなみに、空中散布農薬の使用量を表に挙げておきました。数値は、その農薬成分を含む単剤及び複合剤の合計量で、複合剤については、重複して算出してあります。MEP(スミチオン)、フサライド(ラブサイド)、BPMC(バッサ)を含む農薬の使用が特に多いようです。
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作成:1998-04-01