食品汚染・残留農薬にもどる
t02511#有機塩素系農薬の一日摂取量の推移:東京都衛生研究所#94-05
 東京都衛生研究所は同所年報44号180頁で、日常食からの有機塩素系農薬の一日摂取量の追跡調査結果を報告しました。対象となったのは、BHC、DDT、ディルドリンの3農薬で、71年に使用禁止となっています(ディルドリンはその後もシロアリ駆除剤と使用され、81年に化審法で製造・販売が禁止された)。
 しかし、いずれの農薬も残留性が大きく、いまだ環境中に見出だされているだけでなく、最近では国内で禁止後ずさんな埋設処理されたことも問題となっています。また、先進国で禁止されたものの、途上国では現在も使用されており、PAN(国際農薬監視行動網)は禁止すべき農薬のリストに挙げています。
 都衛生研究所では、毎年10日分の食事を都内の管理給食施設より集め、陰膳方式により、3農薬の一日摂取量を調査しており、このほどまとめられたのは80年から92年までの結果です。 図−略−に各農薬摂取量の最大値と平均値の経年変化を示しました。
 BHCは、α−、β−、γ−の3異性体を合計した総BHCとしての摂取量で表わしてあります。最近5年間は、平均値は1μg/日以下で、最大値も80年代前半よりも減少しています。
 DDTは、DDEやDDDなど4関連物質を合計した総DDTとしての摂取量で、最近7年間は1μg/日前後の値を示しており、最大値も80年代前半のように20μg/日を越えることはなくなっています。
 ディルドリンは、80年代後半から平均摂取量1μg/日以下であったものが、91、92年には、平均摂取量及び最大摂取量とも検出限界以下となっています。
 昨年、アメリカでの疫学調査で、乳癌の発生とDDT及びその代謝物DDEとの因果関係が明かになっているだけに、有機塩素系農薬の食品汚染について、このところ低下の傾向にあるというものの、気懸かりな状況がなお続きそうです。
購読希望の方は、〒番号/住所/氏名/電話番号/○月発行○号からと購読希望とかいて、 注文メールをください。
年間購読会費3000円は、最初のてんとう虫情報に同封された振替用紙でお支払いください。
作成:1998-04-01