行政・業界の動きにもどる
t03101#ちょっと待て!WTO#94-11
WTO(世界貿易機関)の設立が今、国会で批准されようとしています。WTOにはいろいろ問題がありますが、特に、食べ物の安全、環境保護の面で、今まで積み上げられた運動の成果が一気に潰されてしまう可能性があります。現に、厚生省はWTOの批准が決まったものとして食品衛生法の改定を目指しています。残留農薬や食品添加物などを規制の緩い国際基準に一致させようとしているわけです。他にもいくつかの安全性に関する法律の変更が考えられます。私たちの生活にとって非常に大きな影響を与えるWTOが十分な議論もないまま批准されてしまったのではたまったものではありません。ちなみにWTO設立に関する日本語訳が完成したのは10月中旬であり、厚さ30センチに及ぶ膨大な文書は現在、国会議員の机の上に積まれています。
以下、WTO、特に「衛生植物検疫の適用に関する協定」で何が決められようとしているか問題点をあげます。
1、WTO(世界貿易機関)は主権を侵害する。
WTOは多角的貿易システムの維持を最優先しており、あたかも自由貿易が人類の目的であるかのごとく扱っている。そのルールは日本の国、地方自治体、民間団体の健康で文化的な最低限度の生活を営むために決められた法律、規約、行政手続きを変えさせられる可能性がある(安全に関するものとしては、食品衛生法、植物防疫法、化審法など)。日本国憲法に基づいて決められた国内法を国の外部の圧力で変えざるを得ないというのは主権の侵害である。
2、特に問題になるのが「衛生植物検疫措置の適用に関する協定」(SPS協定)である。WTOは一括受諾のため、これだけパスできない。この協定では加盟国が必要な衛生検疫措置を取ることを認めてるが、それもこの協定に反しないことが条件になっている。この協定がくり返し強制しているのは、加盟国は国際基準より厳しい基準を作ってはいけないということである。例外として、十分に科学的な証明ができるならば認めてもよいとなっている。あくまで例外である。
SPS協定は前文、本文14条、付属書3からなっている。この協定で「国際的な基準、指針及び勧告」というのは、@食品の安全に関しては「食品規格委員会(コーデックス委員会)」が作成したもの、A動物の健康及び人畜共通伝染病については「国際獣疫事務局」の作成したもの、B植物の健康については「国際植物防疫条約事務局」が作成したもの、Cそれ以外のものは他の関連国際機関が定めて委員会が確認した適当な基準となっている。
−以下の項略−
★前文→貿易目的のために安全性を犠牲にする
★第2条(基本的な権利及び義務)→その国の文化や生活習慣は無視される
★第3条(措置の調和)→自国の措置を国際基準に統一させる
★第4条(措置の同等)→悪文の見本
★第五条(危険性の評価及び衛生植物検疫上の適切な保護の水準の決定)→結局、貿易が安全性よりも優先される。
★第6条(有害動植物又は病気の無発生地域及び低発生地域その他の地域的な状況に対応した調整)→植物検疫を国際植物防疫条約に従わす。
★第八条(管理、検査及び承認の手続)→禁止品もとりあえず国際基準に従えとなる。
★第十二条(運用)→定期的な協議の場として委員会を設ける。
★第十三条(実施)→地方自治体、非政府機関の国際基準に従うよう国は手段を講ずる。
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作成:1998-04-01