農薬の毒性・健康被害にもどる
t03805#イギリスにおける農薬被害と汚染問題−有機リン剤やベンレート#95-06
<イギリスにおける農薬被害と汚染問題>
@イギリスでは、ニンジンの栽培にCVP、クロルフェンビンホス、キナルホス、ピリミホスメチル、トリアゾホス、ホレートなどの有機リン系農薬が使用されていますが、ニンジン個体の残留調査の結果、その1ー2%に、複数個を合わせた試料による調査結果の25倍もの濃度のリン剤の残留が認められました。このため、政府は、1回の収穫につき、リン剤の使用を3回以内に制限することにしました。
Aイギリス国内で生産される冬レタス69検体中7検体にに、ラットで先天異常をひきおこすため、使用認可が取り下げられたビンクロゾリンの痕跡が検出されたほか、7検体には、ジチオカーバメート系農薬がヨーロッパ連合の基準値を上回って検出されました。この結果、MAFF(農水食料省)は生産者に注意をうながすキャンペーンを計画しています。
B息子が無眼球症で生まれたのは、母親が妊娠初期にバラ栽培に使用した農薬ベンレート(ベノミル)が原因であるとして、イギリスに住む両親が農薬メーカーのデュポン社をアメリカ連邦裁判所に訴えました。同様な訴訟は93年、アメリカ本国でも起こされています。アメリカのEPAは、ラットの実験で、眼の奇形が認められたため、ベンレートのラベルに妊娠中は使用しないよう警告すべきだとしていますが、デュポンはこのことについて、訴訟をおこしています。同社は、ラットの実験結果は、高レベルの投与のためであり、通常レベルでは、奇形は起こり得ない。X線や他の化学物質でも無眼球症はおこりうると反論しています。
Cてんとう虫情報22号でイギリスで有機リン系の羊洗液による農民の農薬中毒が問題になっていることを報告しました。このほど、HSE(厚生省)が委託した新な研究の結果、有機リン剤による急性毒性だけでなく、慢性毒性との因果関係も確認されました。羊洗液の長期使用者は、判断力や注意力試験で劣ることが示されたのです。環境保護団体「地球の友」は、農民が、わずらわしい保護衣を着用することをあてにするだけでは、対策として十分でない。有機リン系羊洗液はただちに使用を中止すべきだとしています。

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作成:1998-04-01