農薬の毒性・健康被害にもどる
t05007#免疫毒性のある農薬#96-05
人の免疫系が抑制されると、感染症やある種の癌にかかりやすくなりますが、このほどアメリカの研究機関WRIが、「農薬と免疫系:人の健康への危険性」という報告をだしました。
この中で、アザラシの子を2群にわけ、ひとつの群には農薬やPCBで汚染されたバルティック海産の鰊を、もうひとつには比較的汚染の少ないアイスランド産の鰊を与えて、育てたところ、後者の方が3倍強い免疫力をもっていたこと。また、旧ソ連にある中央モルドバでの疫学調査では、農薬使用の多い地域の十代の子供には、使用の少ない地域にくらべ、2〜5倍呼吸器系感染症が多かったとの例があげられています。
WRIは、世界保健機関(WHO)は、農薬が人の免疫系に損傷を与える危険性について、きちんとした研究計画をつくるべきであるとの提言するとともに、感染症による死亡が多い発展途上国では、免疫抑制のある農薬の使用に注意を払うべきだとしています。
農薬の免疫系試験は人の培養細胞や実験動物を使用して実施されますが、その結果、免疫毒性ありと報告された農薬の例を表にあげました。
表 免疫毒性のある農薬と日本での生産・輸入量
農薬名 用途 日本での主な商品名 原体生産/輸入量(94年)
NAC(カルバリル) 殺虫剤 セビン、デナポン 600 トン
アルディカーブ 殺虫剤 日本での登録なし
アジンホス−メチル 殺虫剤 日本での登録なし
シペルメトリン 殺虫剤 アグロスリン 15
カルボフラン 殺虫剤 日本での登録なし
ペルメトリン 殺虫剤 アディオン 26
ベンゾエピン 殺虫剤 チオダン /100
ホレート 殺虫剤 日本での登録なし
マラチオン 殺虫剤 マラソン /168(93年)
メチルパラチオン 殺虫剤 登録失効
銅系 殺菌剤 ボルドー、キノンドー 無機系768・有機系231
PCNB 殺菌剤 ペンタゲン 2012
2,4−PA 除草剤 2,4−D 74/44
アトラジン 除草剤 ゲザプリム /106+製剤169
パラコート 除草剤 プリグロックス 208
モリネート 除草剤 オードラム /360
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作成:1998-04-01