食品汚染・残留農薬にもどる
t05405#東京都衛生研究所94年度農作物残留農薬調査報告から#96-09
 東京都衛生研究所は、同所年報46号(1996年発行)で、94年4月から95年3月にかけて、東京都内で入手した農作物の残留農薬調査結果を報告しています。
残留分析の対象となった作物は
国産慣行栽培作物:   13種  30検体
無・減農薬栽培表示作物:10種  20検体
輸入農産物 :     77種 250検体
農薬の種類は
           国産作物 輸入作物
有機リン系農薬:   36種   31種
有機塩素系農薬:   25種   20種
カーバメート系農薬: 13種   10種
その他:        5種    4種
となっています。
表−略−に何らかの農薬が検出された作物とその検出値を示しました。 (1)国産野菜・果実
 分析対象となっている農作物は、野菜では、キュウリ、レタス、ニンジン、ミニトマト、トマト、ピーマン、食用菊*、小菊*、ナス*、ホウレンソウ*、コマツナ、ハクサイ、果実では、ブドウ1種だけで(*は慣行栽培のみ)、対象作物の選定にかたよりがあることはいままでとかわりありません。
 レタスのメソミル440ppbとTPN2400ppbは高い残留値といえます。刺身のつまの小菊では、チオジカルブが、前年同様6700ppbという高い残留値で検出され、登録保留基準の3.3倍でした。
 無・減農薬の表示のある農作物中にも、DMTP、TPN、プロシミドン、メソミルが、見出だされていますが、特にレタスのプロシミドンは380ppbと高い数値を示しています。
 残留検出率の高い農薬として、TPN、プロシミドン、メソミルがあり、複数の農薬が残留していた作物としては、ピーマン、キュウリ、小菊、レタスの4種4検体がありました。
(2)輸入農作物
 対象となった農作物のうち12種45体に12種の農薬が見出だされました(検出率18%)。
★37種の野菜のうち、フランス産のタラゴンにカーバメート系のメソミルが4500ppb検出されましたが、これは、、日本の登録保留基準500ppbを越えるものでした。また、タイ産のオクラにはNACが見出だされています。
 前年検出されたジャガイモ加工品中の発芽防止剤CIPCは、94年度の調査では、5検体いずれも検出限界以下でした。
★柑橘類を除く15種の果実には、35%の検出率で残留農薬が検出されました。バナナでは、前年につづき、殺菌剤のビテルタノールが75%の検出率で最高240ppbの濃度で検出され、果肉部分にも100ppb残留していました。サクランボ、ライチ、イチゴには、NACが検出され、特にサクランボが最高330ppbと高い残留をしめしています。キウイや輸入解禁となったリンゴからは、有機リン系のクロルピリホスが検出されています。
★柑橘類では、4種19検体に6種の農薬が見出だされており、その検出率は前年とほぼ同様の84%となっています。ポストハーベスト用のイマザリルはアメリカ産のグレープフルーツに830、レモンに3000、オレンジに1700各ppb検出されています。有機リン剤のクロルピリホス、エチオン、DMTP、ダイオキシン類を不純物に含む2,4−D、カーバメート系のNACなどが残留している傾向も前年とかわりありませんが、2,4−Dがこれまでの調査で最も高い240ppbを記録し、平均検出量も増加している点がきがかかりです。
★14種の豆類や種実類からは、前年同様残留農薬は検出されませんでしたが、7種の穀類のうち、ポストハーベスト使用と思われる有機リン剤がバクガ(麦芽)とコーンミールに検出されています。穀類での検出率は 88年度から、80%、67%、50%、19%、9%と減少傾向にありましたが、94年は13%となっています。

購読希望の方は、〒番号/住所/氏名/電話番号/○月発行○号からと購読希望とかいて、 注文メールをください。
年間購読会費3000円は、最初のてんとう虫情報に同封された振替用紙でお支払いください。
作成:1998-04-01