ダイオキシンにもどる
t06407#ダイオキシン発生の身近な焼却−自治体の家庭用小型焼却炉購入補助の実態調査から(東京都、埼玉県、大阪府)#97-05
 私たちの身のまわりで使われている小型焼却炉の焼却残灰から、都市ゴミ焼却炉の16倍(TEQ)という高濃度のダイオキシンが発生することについては、「てんとう虫情報44号」でもとり上げ、小型焼却炉の使用禁止を訴えてきましたが、最近、小中学校の小型焼却炉の使用中止が少しずつ始まっています。95年の埼玉県久喜市・宮代町での中止を皮切りに、今年4月には埼玉県の所沢市、越谷市、千葉県野田市が中止し、7月には福岡県北九州市が中止の予定です。
また、今年6月から施行される所沢市の「ダイオキシンを少なくし所沢にきれいな空気を取り戻すための条例」では、行政や焼却処理業者とともに市民の責務として「家庭において安易な焼却はしないようにすること」を明記しています。東京都教育委員会でも、学校でごみを燃やさない考え方を基本にした「見直そう!学校のごみ」と題するマニュアルを作成し、「焼却炉の使用を抑制しよう」と都内の中学校、高等学校に配布するなどの動きも出ています。
★家庭用簡易焼却炉の購入補助
一方、身近な所で増える傾向にあるのは家庭用簡易焼却炉の使用です。ごみ有料化にも拍車をかけられ(既に3分の1以上の自治体が有料化している)、各家庭が簡易焼却炉や焼却バケツを購入する際、自治体が購入補助や安価でのあっせんを行っているケースもたくさんあります。
この家庭用焼却炉の購入補助について、東京都、埼玉県の補助の実態調査を行ないました。日本消費者連盟関西グル−プが行った大阪府南部7市の調査報告(草の根だよりNO247号)と合わせて考えてみます。
埼玉県、東京都の購入補助の状況はそれぞれ表1、表2−略−のとおりです。東京都では補助事業の有無しか把握しておらず、各自治体にそれぞれ問い合わせて調べました。
埼玉県の場合、購入補助した焼却炉の累積数は1万6000基以上にのぼります。東京都を例にとってみると、23区内では購入補助を行っているところはなく、多摩地区13自治体が実施していました。
事業規模はまちまちですが、上限が平均2万円の補助額は、埼玉県各地に比べてやや高額です。購入補助の開始時期は平成に入って10自治体が開始しています。これは、日の出町の最終処分場を建設したものの、ゴミが減らず減量化のため購入補助を始めたものと思われます。平成8、9年度から購入補助を中止した小金井市と稲城市のやめた理由は、「燃やすと灰が飛び散るなどのトラブルがあった。資源回収を進めて燃やさずに資源としてリサイクルする方向転換をした(小金井市)」「大気汚染防止、ダイオキシンの問題を考慮に入れて中止した(稲城市)」とのこと。
交付総額が年間1400万円、平成6年度までの累積普及実績6256基と顕著に多い青梅市に問い合わせたところ「土地の余裕があるためごみの自家処理による減量促進のため実施している。周りからの苦情は、煙害、時間などの件で発生しているので補助受付時に注意書きを配布して説明したり、毎年市報などで呼びかけている。昨年まで価格の3分の2の補助だったが、平成9年度から2分の1に引き下げ、機種の限定も外し、煙突も高い高価な焼却炉も選択できるようにしようにした。」とのこと。
青梅市に限らず購入補助を実施したからには、焼却炉が適正な方法で使用されているか後追いチェックをするべきです。また、実際に使用している簡易焼却炉の窒素酸化物、硫黄酸化物などの項目とともにダイオキシン調査を行なう責任もあるのではないでしょうか。
愛媛大学の脇本教授らが行った小型焼却炉によるダンボ−ルの燃焼試験結果を表3に示しました(出典:『食べ物通信』96年12号p-18)。ダンボ−ルのみでは、検出されなかった排煙中のダイオキシンが、塩素供給源としてポリ塩化ビニルを6.7〜10%の割合で混入すると3000pgTEQ/●以上検出されるようになっています。小型焼却炉は煙突も低く拡散しにくいため、周囲にいる人が直に吸ってしまう可能性も高くなります。燃焼中に長くそばにいると、環境庁の示した健康リスク指針値5pgTEQ/Kg体重・日を越えるおそれもありますし、周辺環境に次第に蓄積されていくことも心配です。
★購入補助の実態調査を行なおう
購入補助を行なっている自治体では実態調査を行ってみましょう。表の項目の他、購入時の注意や分別の説明、不要になったときの処理、苦情、灰の処理や灰や排ガス、特にダイオキシン発生の調査など自治体は行なっているでしょうか。市民に進めるからには当然調査してしかるべきです。
日本消費者連盟関西グループでは自治体からの「燃やされているのは紙と木だけ、市民の苦情申し出は多くない」との回答を受け、実際調べてみると「燃えるものはなんでも燃やしていたり、紙と木だけなら軽いはずの灰が、においもきつく塊になっているものもあった」と報告しています(「草の根だより247号」より)。
安全対策なしの安易な補助事業は止めさせましよう。

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作成:1998-04-01