農薬の毒性・健康被害にもどる
t06505#各地で農薬による重大事故発生#97-06
★女子高生、水稲空散で頭から農薬浴びる
6月6日、栃木県宇都宮市で女子高校生3人が頭から空散農薬(オフナックバッサ乳剤=ピリダフェンチオン30%、BPMC30%の混合剤)を浴び、一人は転倒して服などが汚れたため家に帰って体を洗いましたが、そのまま登校した2人は具合が悪くなり、5日間も入院しました。
6月12日付けの地元紙下野新聞によると、実施主体の宇都宮市農協は「運が悪かったと考えている。何十年もやっているが、農薬を浴びて入院したという話は聞いたことがない。医者も慎重になったのかという感じがする。」などと述べて、まるで、医者が悪いかのような言い方です。また、今後は空中散布を行う際には、広報車による事前PRなどを行うとしていますが、今までやってなかったすればそれのほうが問題です。
6月12日付けの毎日新聞によると、栃木県警は業務上過失傷害の疑いで調べているということですが、因果関係がはっきりしているだけに刑事責任を問われるのは当然のことでしょう。
★会社員も空散農薬を浴びる
6日の宇都宮市での事故から僅か1週間後の6月13日、同じ栃木県内の小山市で、今度は出勤途中の会社員がヘリコプターからの農薬をあび病院で治療を受けました。被害にあった人は県道を自転車で出勤途中に頭上のヘリに気づき腕で顔を覆ったそうですが、目の痛みやめまいを感じたため、病院へ行きました。医師によると目が充血し軽い結膜炎の症状があり2、3日の通院が必要とのことです。
実施主体の小山市農協は「ヘリが飛んでくるのを見たら飛び終わるまで待つべきだ」などと言っているありさまです(6月14日付け読売新聞)が、そもそも県道で空中散布をすること事態が非常識です。
このような事故は実は各地で起こっているものと思われます。それが公にならないままに終わっていることが問題です。少しでも被害を受けたら直ちに病院へ行き、業務上過失傷害で訴えるか、損害賠償の請求をしてゆくことが必要でしょう。そうしないと、いつまでも、事故はない、健康被害はなかったとなり、杜撰な農薬空中散布が続けられます。
★ボウフラ退治用スミチオンを飲み死亡
5月19日、埼玉県久喜市の82才と81才の夫婦が、自治会から配布されたスミチオンを誤って飲み、男性は死亡、女性は入院するという事故がありました。スミチオンはボウフラ退治として市が自治会に配布、自治会は清涼飲料水のビンに小分けして各戸に配布したということです。
二人は味がおかしかったため少量しか飲まなかったとのことですが、その夜から症状が悪化し、入院しましたが、男性は死亡しました。久喜市は自治会に配布する際には「小分けするな」と注意をしていたとのことですが、実際には清涼飲料水のビンに小分けされ、市販の清涼飲料水とそっくりだったため、誤って飲んでしまったようです。
私たちは、以前からこのような事故が起こる可能性を指摘し、また、何のために農薬を散布するのかも明確でなく(例えば、蚊を退治するといって床下や樹木に農薬をかける例がある)、自治体が農薬配布するのをやめるべきだと主張してきましたが、まだまだ各地で行われています。
こうした事故を契機に、まだ自治体が農薬配布している地域では、すぐさま、中止するよう運動してゆきましょう。
6月は「農薬危害防止運動月間」で、農水省と厚生省が連名で注意を呼びかけていますが、どこまでこの通達が届いているのか疑問です。
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作成:1998-04-01