ダイオキシンにもどる
t06904#家庭用焼却炉の残灰から高濃度のダイオキシン類検出−日本消費者連盟関西グループが発表#97-10
 日本消費者連盟関西グループ(代表 筒井明子さん)は、プラスチックを燃やすとダイオキシンなどの有害物質が発生することを憂慮し、以前から、学校などでの焼却をやめるよう運動してきましたが、この度、家庭用簡易焼却炉の残灰のダイオキシン汚染の調査をしました。その結果、すべての検体から高濃度のダイオキシンが残留していることがわかり9月30日に公表しました。同グループは、直ちに、調査した大阪府南部の7自治体に簡易焼却炉への補助をやめ、プラスチックの分別を徹底するよう要望しました。今後、このデータをもって国や県にも簡易焼却炉の危険性を訴え、安易な焼却をやめるよう働きかけるとしています。以下にその報告書を紹介します。
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■目的
 日消連関西グループは数年来、プラスチック焼却はダイオキシンをはじめ、種々の有害物質を発生する危険性が非常に高いことから、できる限り燃やさないようにと活動してきた。
 1995年には大阪府下の小学校でのゴミ焼却の実態を調査し、96年には大阪府南部の7自治体を対象に、簡易焼却炉の使用実態を調査した。その結果、プラスチックの自家焼却が非常に多いことが明らかになった。
 塩素を含むプラスチック類の燃焼に伴ってダイオキシンが発生することが指摘されているので、今回、一般家庭で使用されている簡易焼却炉の残灰中に含まれるダイオキシン類の調査を試みた。
■試料
 1996年9月に、大阪府南部地域において、ドラム缶や一般家庭用小型ゴミ焼却炉を用いて燃やされた自営業や一般家庭ゴミの残灰を採取した。
■分析
 摂南大学食品衛生学研究室(宮田研究室)
■分析結果
 下記の通り、最高4933pg/TEQ/g、最低0.168pg/TEQ/gの分析結果が得られた。
 
表 家庭用小型焼却炉残灰中のダイオキシン濃度

試料名    ダイオキシン濃度(pgTEQ/g)     備考
試料1       0.168       一般家庭:紙ゴミ
試料2       2.83        自営業(塗装業)のゴミと生活ゴミ
試料3     119           一般家庭:紙ゴミと落ち葉
試料4      17.1         農家:生ゴミ以外なんでも
試料5       1.36        自営業(繊維加工業)のゴミ
試料6    4933           自営業(金属工作)のゴミと生活ゴミ
試料7     147           農家:生ゴミ以外なんでも

 pg:1兆分の1g     TEQ:2,3,7,8-TCDD毒性等価量
■検討と提言
 今回の試料は、ゴミ減量のために自治体が、家庭用小型焼却炉に補助金をつけて市民に自家焼却を勧めているところのものである。紙、落ち葉、プラスチック、布切れ・糸くずなどさまざまな材質のゴミが燃やされていた最高濃度と最低濃度が大きく異なるのは、燃やされるゴミ質の違いが反映されたものと考えられる。
 最大値4933pgTEQ/gは、一般土壌Aや学校・公的施設等の小型焼却炉Bのダイオキシン類濃度よりはるかに大きく、所沢市北部の産業廃棄物小型焼却炉焼却灰@や公共ゴミ焼却施設の残灰中のダイオキシン類濃度Cの最高値にほぼ等しい。阪神大震災後の野焼き焼却残灰Dと同程度である。
 昨今、ゴミ焼却場で発生するダイオキシンによる環境汚染が大きな社会問題になっているが、庭先の簡易焼却炉によるダイオキシン汚染がその周辺の人々にとってははるかに重大になる恐れがある。さまざまな材質のゴミが氾濫する現代生活で、一般市民が安全に燃やせるゴミかそうでないかを見分けることは難しい。ゴミの自家焼却を勧めるべきではない。自治体は家庭用小型ゴミ焼却炉購入補助金制度を直ちに中止し、小型焼却炉の使用を法的に規制すべきである。
 プラスチック類、特に塩化ビニール等の焼却がダイオキシン発生に大きく寄与することが指摘されている。プラスチック分別の困難さを考えると、塩化ビニール、塩化ビニリデンなど塩素系プラスチックの製造・使用を法的に制限・禁止すべきである。

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作成:1998-04-01