ダイオキシンにもどる
t07003#家庭用簡易焼却炉のダイオキシン高濃度汚染に関連して環境庁・厚生省に調査を要望#97-11
 前号で紹介しましたが、日消連関西グループの調査によって家庭用簡易焼却炉の残灰に高濃度のダイオキシンが残留していることがわかりました。この件に関して11月14日、日消連関西グループと反農薬東京グループは、環境庁、厚生省と話し合いを持ちました。
 環境庁は大気保全局大気規制課の担当者が対応しました。@簡易小型焼却炉の使用実態及び残灰の処理法方を調べること、A簡易小型焼却炉の環境被害の調査、B簡易小型焼却炉に対して規制措置をとることなどを要望しました。環境庁の担当者は、大気は自分のところの管轄だが、土壌は環境庁の土壌農薬課で、灰に関しては厚生省の担当だと、相変わらず縦割り行政の論理を繰り返しました。また、来年度から小型焼却炉の調査をする予定だが、家庭用の簡易焼却炉は予定に入っていない。簡易焼却炉のような測定口がないものの排気ガスの調査は難しいなどと回答しました。
 しかし、難しいからできないということではなくて、やらなくてはならないことならば、技術的問題は解決できるではないか、家庭用焼却炉は身近にあり、大型焼却炉よりも危険性は高いのではないかなどと、議論をすすめる中で、来年度の小型焼却炉の調査の中に簡易焼却炉もいれることを検討すると約束しました。
 厚生省は生活衛生局水道環境部環境整備課の担当者と話し合いました。同じような要望をしましたが、厚生省は、今まで大型のゴミの焼却炉の規制で忙しかったけれど、これからは小型焼却炉に関しても調査をしてゆくことを考えているとのことでした。環境庁が難しくてできないと言っていた家庭用簡易焼却炉の排ガスの調査をしたいとのことでしたが、それよりも管轄の灰の調査を早くしてほしいと訴えました。
 家庭用簡易焼却炉の残灰は、畑や庭にまいたり、ひどいところでは川に捨てたりしている実情も伝え、汚染がこれ以上広がらないよう早く規制すべきことも訴えました。本来、焼却灰は管理型処分場に捨てなければならないのですが、家庭でやっていることをそこまで規制できないというのが厚生省の見解でした。いずれにしても、家庭用簡易焼却炉から高濃度のダイオキシンが出ている事実を厚生省や環境庁が、もっとわかりやすくアピールする必要があります。
 この話し合いの後、反農薬東京グループは要旨以下のような要望書を厚生省と環境庁に提出しました。
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要望書要旨
(T)ゴミ中の食塩とダイオキシンの関係について
 塩化ビニル業界が挙げている第3項の食塩から塩化水素が発生する問題につき、私たちは、塩化ビニル環境対策協議会からその主張の根拠とする報告書を入手して、内容を検討ましたが、実験は、硫黄分を含むタンパク質の多いモデルゴミを流動床焼却炉を用い、水をゴミの1.5倍添加し、滞留時間を長くして、900〜1000℃で焼却処理した結果、流動砂と食塩が反応することによって塩化水素が発生していること示しているにすぎないことが判明し、一般の都市焼却施設で、食塩がダイオキシンの生成に関与しているとの主張を裏付けるものではありませんでした。
 そこで、ゴミ焼却における食塩とダイオキシンの生成の関連を調べるため、以下の実験を実施することを要望します。
@ 塩素源として食塩のみ及び塩化ビニル樹脂のみを含むゴミを300〜800℃の温度範囲で焼却して、塩化水素及びダイオキシンがどの程度発生するか調べて下さい。この際、流動床焼却炉と非流動床焼却炉での比較を行なってください。
A 家庭用簡易焼却炉を用いたゴミ燃焼時に食塩を添加して、どの程度のダイオキシンが生成するか調べてください。
B 塩化物及び硫黄分を組成中に含む重油及びアスファルトを燃焼・加熱する場合、塩化水素及びダイオキシンがどの程度発生するかを調べてください。
(U)家庭からでるゴミの焼却とダイオキシンの関係について
 すでに、愛媛大学の脇本教授たちの研究で、家庭用の簡易焼却炉から、ダイオキシンが発生することがわかっていますが、このほど、日本消費者連盟関西グループが行なった家庭用小型ゴミ焼却炉の残灰中の調査でも、ダイオキシンが検出されてました。そこで、以下の研究調査や指導をお願いします。
 @家庭用簡易焼却炉でのダイオキシン発生機構について研究してください。
 A上記研究結果がでて、ダイオキシン発生抑制対策がとられるまで、一般家庭ゴミの安易な焼却をやめるよう指導してください。
 B同時に、一部の地方自治体がゴミの減量化対策として実施している小型ゴミ焼却炉購入補助金制度をやめるよう指導してください。
 C家庭ゴミの中には、塩化ビニルや塩化ビニリデン樹脂など塩素含有樹脂製品が混入しており、これが、ダイオキシンの発生源となっていることが明かになっています。そこで以下の対策をとるよう要望します。
  4-1 包装・玩具・その他身の回りの塩素含有樹脂を識別して分別できるようにし、焼却しないようにする対策をとってください。
  4-2 農家で使用される塩化ビニル製農業用フィルムの焼却を止めるよう指導願います。
  4-3 塩化ビニル及び塩化ビニリデン系樹脂製品の使用規制と焼却禁止を求めます。
以上、ご検討いただき早急に回答くださるようお願い致します。

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作成:1998-04-01