ダイオキシンにもどる
t07604#O157対策の消毒でダイオキシンが発生か−新潟薬科大学の研究#98-05
 O157による食中毒が全国で学校給食を中心に発生したことで、厚生省は調理場の殺菌消毒を勧めていますが、この消毒薬の一つである次亜塩素酸塩を使用すると、トリハロメタンや有機塩素化合物に加えて、ダイオキシンも発生するという研究があります。
 次亜塩素酸塩に関しては、以前から野菜の殺菌や漂白に使用され問題になっていました。モヤシを次亜塩素酸塩で消毒すると発がん性のあるクロロホルムが生成するとの報告もありました。また、ジフェニールが残留している柑橘類を次亜塩素酸塩で処理すると、PCBが発生する恐れがあることも指摘されています。
★トリハロメタンは全てから発生
 今回、新たにダイオキシン類などが発生すると報告されたのは、日本食品化学会誌4巻2号(1997年)に掲載された新潟薬科大学の及川教授らの「調理用具の次亜塩素酸処理による有機塩素化合物の生成に関する研究」という論文です。
 及川教授らは、市販の綿布巾、木製まな板、スポンジたわしを5世帯に提供し、布巾、たわしについては15日間、また板については一ヶ月間通常の方法で調理に使用したものを試料として、次亜塩素酸ナトリウム100mg/L、400mg/L、1000mg/Lの溶液処理を行い、生成される揮発性有機塩素化合物を分析しました。また、溶媒抽出法により調理器具から生成される中揮発性有機塩素化合物の同定も行いました。
 その結果、クロロホルム、ブロモジクロロメタン、ジブロモクロロメタン、ブロモホルムなどのトリハロメタンは最低使用基準濃度である100mg/Lでも100μg/L以上が検出され、次亜塩素酸の増加に伴って生成量も増加しました。論文では、室内に拡散し、作業者への暴露が考えられるとしています。1,1-ジクロロエチレン、ジクロロメタン、四塩化炭素、クロロメタン、塩化ビニルも微量検出されています。
★ダイオキシンも検出
 論文では、ダイオキシンの前躯体であるクロロフェノールの類似物質(クロロメチルフェノール)が布巾の抽出物から検出されたため、ダイオキシン類を分析したことも報告されています。これによると6塩化ダイオキシンを0.006ng/g検出したとのことです。やはりダイオキシンが生成されていました。また、6塩化ダイオキシン以外のダイオキシンも生成されている可能性があると指摘していますが、さらに詳しく研究することが必要と結論づけています。  いずれにしろ、薬剤を多用するととんでもない事態が起こることをまたも証明した研究です。消毒剤の使用は慎重にすべきです。薬剤で昆虫を絶滅させることも、病気を根絶させることもできないことは歴史が証明しています。反対に耐性をもった虫や菌が大量に発生し、ますます健康に悪影響を与えることは明白です。感染症法案はこの点に関して全く考えられていません。

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作成:1998-06-27