農薬の毒性・健康被害にもどる
t07708#カエル奇形の原因は、カの駆除剤メトプレンの分解物か?#98-06
 てんとう虫情報59号で、カエルに肋骨奇形をおこすビタミンAの酸化物(レチノイン酸)と化学構造が類似している農薬メトプレンが、カエル奇形の原因であるとの説を紹介しましたが、アメリカでの研究で、このメトプレンの光分解物が、1μL/Lの濃度から、カエルに奇形を起こすことがわかりました。
 メトプレンは、幼若ホルモン系昆虫成育制御剤(IGR)で、日本では、農薬登録されていませんが、カ及びハエの幼虫駆除薬剤としてよく使用されるものです(商品名「アルトシッド10F」)。
CH3O-C(CH3)2-(CH2)3-CH(CH3)-CH2-CH=CH-C(CH3)=CH-COO-CH-(CH3)2
 上式に示すトランス,トランス−(S)−メトプレン原体が駆除薬剤の主成分ですが、この物質が水中で光分解を受け、微生物によって酸化されて生じた図(省略)に示す3つの代謝物が、発達途上にあるアフリカツメガエルの卵を用いた実験で、メトプレン原体よりも、強い催奇形性をもつことがわかりました。研究者らは、自然界でも、メトプレンが散布された池の表層部で、その代謝物が生成しているのではないかと考え、今後、薬剤の分解物にも眼をむけた原因調査をするべきだとしています。
 日本でのカエル奇形の報告としては、北九州市にある旧山田弾薬庫跡地の緑地公園内で、過剰肢カエルが発生し、問題となったことがありますが、原因は解明されていません。カエルについていえば、奇形の発生のみに注目するのでなく、以前に比べ、カエルの数が減ってしまった原因をも追求すべきでしょう。

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作成:1998-07-27