食品汚染・残留農薬にもどる
t07803#東京都がアメリカ産大豆から除草剤グリホサート検出−遺伝子組換え品の輸入明かに#98-07
 遺伝子組換え作物の禁止を求めている当グループは、1年以上も前、都消費生活条例8条に基づき、遺伝子組換え作物の残留農薬等の成分分析を実施するよう東京都に対して申し入れを行ないました(t06406参照)。
 除草剤耐性作物は、除草剤をかけても枯れない作物です。今まで、除草剤をかけると枯れてしまうため使えなかった作物に除草剤がかけられるようになったわけですから、当然、この作物には除草剤が残留することが考えられるため、その分析を東京都に申し入れたものです。
 申し入れの内容は、除草剤耐性大豆については、グリホサートの、同じくナタネについてはグリホサートとグルホシネートの残留量の、また、トウモロコシとバレイショについては、BT菌毒素の測定等合計8項目の検査を依頼してきました。
 しかし、去る6月8日付けで、大豆のグリホサートの残留結果のみが、10生消生生第69号という文書で報告されました(説明のため、東京都の担当職員がわざわざ、事務所にご足労してもくれました)。
【東京都調査結果】(1998年6月17日)
   「遺伝子組換え作物の残留農薬検査等の依頼」調査結果

■普通のアメリカ産大豆を分析
 東京都が分析を行なった大豆試料は97年12月以降アメリカから輸入された、いわゆるIOM大豆(インディアナ、オハイオ、ミシガン3州の産)で、遺伝子組換え作物だけからなる試料が入手できなかったと記るされています。大豆試料の内訳は食品用6種類17検体、搾油用5種類13検体、全部で11種類30検体がグリホサート残留分析に供せられ、その結果、食品用1種2検体に0.05と0.06ppmのグリホサートが検出されました(検出限界0.05ppm)。
 報告書によりますと、グリホサートの測定は「一般には困難かつ複雑で、コストも高い」、「試験溶液の調製法が煩雑であり、時間を要する」などのため、データが少ないということで、市場に出回る大豆で、この除草剤が検出された例は、今回が、はじめてのようです。
 厚生省の95年度の食品中の残留農薬結果(97年公表)では、輸入品5、国産品1の大豆についてグリホサートの分析結果がありますが、いずれも不検出になっています。つまり、この時点では遺伝子組み換え大豆は入ってきていなかったと言えるでしょう。実際、輸入されるようになったのは96年秋以降に収穫された大豆です。やはり、遺伝子組み換え大豆にはグリホサートが残留しているわけです。
■除草剤の残留が証明−遺伝子組み換え
 遺伝子組換え大豆のメーカーであるモンサント社の実験によれば、グリホサートを3回散布した場合の収穫大豆中の平均残留量は最高5.473ppm、最低0.158ppm、平均1.58ppmということですから、今回検出値が低いのは、グリホサートを使用しない在来種大豆と使用した遺伝子組換え大豆とを混合したものを出荷していることをうががわせます。メーカーや生産者が遺伝子組換え農作物のボイコット運動ができないように意図的な操作をしていることも考えられます。
 アメリカでは、97年秋に収穫された大豆は、総作付面積の約12%で遺伝子組換え品種が栽培され、98年は、この比率がもっと高まるということですから、グリホサートの検出値も上がるのではないでしょうか。
 しかし、厚生省の通達による分析方法では、検出限界を0.01ppmにするようにとなっていますし、代謝物であるアミノメチルホスホン酸として残留しているとの指摘もありますので、より精密な残留分析をしてもらいたいものです。
 いずれにせよ、何の表示もないため、知らないうちに遺伝子組換え農作物が、私たちの口に入ってきているのに加えて、除草剤まで口にしなければならないのは問題です。
 なお、てんとう虫情報73号の海外情報で紹介したローヌ・プーラン社の除草剤ブロモキシニル耐性綿花について、アメリカのEPAは、子供の成育に有害であるとして同剤を使用禁止にした先の決定を撤回したということです。

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作成:1998-09-01