ダイオキシンにもどる
t08002#PCB処理に関する環境庁からの回答#98-08
 環境庁は、97年10月30日、「PCB処理の推進について(PCB混入機器等処理推進調査検討委員会中間報告)」を公表したのにつづき、98年6月17日、第二次報告をまとめました。当グループでは、先の中間報告に対して、
@PCB使用機器の使用及び保管実態を把握し、環境汚染がないよう保管を図る
APCBの安全な処理技術を確立する
BPCB汚染の新たな発生を防止する
との観点にたち、意見書を環境庁に送付しましたが(てんとう虫情報72号参照)、その回答が、このほど、送付されてきましたので、紹介します。
 環境庁の回答は、下記に示すようにおざなりの官僚文書にすぎません。結局、保管するよりも、早く処理した方がより環境汚染の心配がないとのいままでの主張を繰り返すのみです。
 現在使用しているPCB含有機器を耐用年数がくるまで使い続けることを前提に、廃棄機器の保管を事業者まかせにしていることが最大の問題なのにもかかわらず、この点にメスをいれないで、PCBの処理を促進するだけでは、汚染を断ち切ることはできません。私たちは、PCB含有機器の早急な回収・代替化と回収物の厳重保管を求めていく必要があるでしょう。
   二次中間報告の意見と回答の中には、次のように述べられているところがありますので、参考までに引用しておきます。
「建設業における解体工事等により発生するPCB含有廃棄物の処理責任は排出事業者である建設業者となるが、直ちにすべてを処理することは困難であることから十分な処理体制が確立するまでは、建築物所有者等による保管と処理の責任を明確にしていただきたい。/建設業における解体工事等においては蛍光灯安定器についてもPCBを含有しているものがあることを徹底されたい。/共同所有の分譲マンション等では保管責任者(建築物所有者)が消滅する問題が生じる可能性がある。」との意見に対し、回答は「PCB含有のトランス、コンデンサ、蛍光灯安定器などは、まだ一部の古い工場やビルなどで使用されている。これらは耐用年数がきたり、建物の取り壊しなどにより順次廃棄物となるが、廃棄物となったPCB含有製品は、その排出事業者(不明確な場合は行政当局への確認が必要)において適正に処理又は保管する必要がある。保管中のものが適正処理されるまでの間、紛失・漏出が起こらないよう、保管者において万全の措置を講ずる必要がある。」となっています。(環境庁第二次中間報告参照)
★資料:環境庁に対するPCB処理に関する意見書と回答
質問1:現在、使用または保管中のPCB使用機器やPCB含有廃油の都道府県別数量について。
回答:別表のみ。場所別数量は示されなかった。
質問2:鳥取県城北高校でPCB入りコンデンサーを用いた蛍光灯からの液漏れ事故とPCBを使用している古い型の蛍光灯の回収について。
回答:事故については、地方新聞の記事コピーが添付されたのみ。独自の調査なし。
 回収については、「廃棄物となったPCB含有製品については、排出事業者によって適正に処理又は保管されることが必要であり、また、使用中のPCB含有製品については、耐用年数のきたものから順次適正保管に移していく必要がある。主要保管者による最近の保管・使用量は参考4(別表参考)に示すとおりである。」
質問3:回収PCBの固化する技術について。
回答:中間報告にも示したように、保管のリスクよりも処理のリスクの方が小さいことが推定され、PCBのリスク削減の観点から言えば、固化処理を行ってさらに保管を継続するよりも、適正処理を行ってPCBを無くすことが先決ではないかと考えられる。
 ただし、適正処理されるまでの間は液洩れ等のないよう保管体制の強化徹底を図る必要があり、ご指摘の技術の利用も考えられるが、今のところPCBの固化処理については当検討委員会の評価対象として上がってきていない。
質問4:西オーストラリア大学の研究者のメカノケミカルな手法によるPCB分解方法について。
回答:詳細な情報は入手しておらず、また、国内で当該技術によるPCB処理を推進しようとする動きもないため当検討委員会での評価作業は行っていない。
質問5:ゴミの焼却処理による新たなPCBの生成防止策について。
回答:家庭ごみに含まれる塩化ビニリデン樹脂等塩素分を含む廃棄物の焼却により、ダイオキシン類の前駆物質としてPCBが生成することが知られているが、これまでのところ、定量的なデータは把握していない。ごみの焼却処理においては、適切な燃焼管理による前駆物質の生成抑制と高温(摂氏800度以上)焼却による二段階のダイオキシン排出抑制対策が講じられており、ダイオキシン類の排出抑制と同時にPCBの生成も抑制可能と考えられる。一方、ごみの分別、リサイクルを進めることにより、ごみの発生量を減らすことも重要と思われる。
別表 PCB等保管・使用状況(省略)

購読希望の方は、〒番号/住所/氏名/電話番号/○月発行○号からと購読希望とかいて、 注文メールをください。
年間購読会費3000円は、最初のてんとう虫情報に同封された振替用紙でお支払いください。
作成:1998-10-01