食品汚染・残留農薬にもどる
t08003#東京都衛生研究所96年度農作物残留農薬調査報告から#98-08
東京都衛生研究所は、同所年報48号(1997年発行)で、96年4月から97年3月にかけて、東京都内で入手した農作物の残留農薬調査結果を報告しています。
残留分析の対象となった作物は
国産慣行栽培作物: 11種 28検体
無・減農薬栽培表示作物: 7種 20検体
輸入農産物 : 70種 234検体
農薬の種類は
国産作物 輸入作物
有機リン系農薬: 37種 36種
有機塩素系農薬: 25種 18種
カーバメート系農薬: 14種 13種
その他: 5種 5種
となっています。
表(省略)に何らかの農薬が検出された作物とその検出値を示しました。
(1)国産野菜・果実
分析対象となっている農作物は、野菜では、キュウリ#、ニンジン、レタス、ワサビ*、ホウレンソウ、トマト、ピーマン、コマツナ、オクラ*、マッシュルーム*、食用菊*、果実では、モモ*1種だけで(*は慣行栽培のみ、#は無・減農薬栽培のみ)、対象作物の選定にかたよりがあることはいままでとかわりありません。
農薬の検出率は慣行栽培で、有機リン系14%、カーバメート系25%、有機塩素系36%、無・減農薬栽培では、全農薬で10%でした。
表をみると、内分泌系撹乱農薬であるプロシミドンとメソミルとベンゾエピンの検出が眼につきます。殺菌剤プロシミドンは、登録失効したビンクロゾリンと同系の薬剤で、レタス、ピーマンでは、Trでしたが、モモ(全)では、最高300ppb残留していました。カーバメート系殺虫剤メソミルは、ピーマンの4検体すべてに最高180ppb検出されたほか、レタス、ホウレンソウにみつかっています。また、有機塩素系の毒物でもあるベンゾエピンが、ホウレンソウに野菜の登録保留基準の26倍の13000ppbも残留していたほか、ピーマンにも最高440ppb検出されました。ベンゾエピンはホウレンソウへの適用は認められておらず、このような品は、出荷先を公表してペナルティを課すべきでしょう。
総じて、ピーマンでの農薬残留が目立ち、上記3種の内分泌系撹乱農薬が残留していたものもありました。レタスでは、プロシミドン・メソミルの2種の、また、モモでは、イプロジオン・プロシミドン・クロルピリホスの3種の複合残留がみとめられました。
無・減農薬の表示のある農作物中にも、メソミルがレタスに、プロシミドンがキュウリに検出されたました。
(2)輸入農作物
対象となった農作物のうち14種36検体に15種の農薬が見出だされました(検出率15%)。
33種の野菜のうちオクラ、サヤエンドウに有機リン系のジメトエート、EPNが、ポテト類に発芽防止剤CIPCが検出されています。特に、CIPCは、カナダ、ベルギー、ドイツ、アメリカ産のマッシュッポテト又は冷凍ポテトに最高390ppb残留していました。このようなCIPCを発芽防止剤として使用することは、日本では、認められていなのに対し、輸入ポテトはすべて、要注意です。
柑橘類を除く13種の果実には、33%の検出率で残留農薬が検出されました。バナナでは、前年につづき、殺菌剤のビテルタノールが最高170ppbの濃度で検出され、果肉部分にも50ppb残留していました。キウイ、サクランボ、ブドウは、イプロジオンが検出され、特にアメリカ産サクランボが最高370ppbと高い残留をしめしています。また、アメリカ産のイチゴからキャプタンが390ppb見出だされたのは、同国で、ポストハーベスト使用が認められているためではないかと思われています。
柑橘類では、4種の農薬が検出率48%で見出だされており、ポストハーベスト用のイマザリルはアメリカ産のグレープフルーツに1300、オレンジに1000各ppb検出されています。ほかに、有機リン剤のエチオンとクロルピリホス、ダイオキシン類を不純物に含む2,4−D、が残留していました。
11種の豆類や種実類からは、93年度以降同様残留農薬は検出されませんでしたが、7種の穀類のうち、ポストハーベスト使用と思われるクロルピリホスメチルがスイス産小麦粉1検体から検出されましたが、検出率が10%前後であった、95年度までよりは残留の程度は下回っています。
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作成:1998-10-01