内分泌撹乱物質にもどる
t08501#「国が安全というから防除基準からはずさない」−内分泌撹乱農薬出荷量ワースト3の都道県からの回答#99-01
昨年11月、内分泌撹乱農薬について、出荷量ワースト3に名を連ねる23都道県の関係部署に、3項目の要請を行ないましたが、12月末までに、すべての自治体から回答をもらいました。その結果を以下にまとめましたが、回答内容をみると、殆どの自治体は、すべて、国=農水省の指示を待つという主体性のない態度に終始しています。農業現場に近い自治体の方は、内分泌撹乱農薬を使うことによる農民やその家族に対する健康への影響や自然の生態系、魚介類への影響のことをもう少し考えていることを期待していたのですが、全くそのような気配が感じられないのは残念なことです。
★要請@内分泌撹乱農薬を防除基準から除いてほしい
この件については、23自治体すべてが、内分泌撹乱農薬を防除基準から除くこと拒否する回答でした。
「現段階では、除くことを考えていない」、「国の調査研究等の動向をみたうえで 対処する」「総合的な評価を確認し、削除・使用自粛等を検討する」等々との文言が多かった中で、複数の県が「環境庁リストに載ったからという理由で、防除指針から削除すべきでないと農水省から指導を受けている」との記述がみられます。このことから、農水省が、各自治体に内分泌撹乱農薬についての統一見解を示していたことがうかがわれます。
農薬防除基準は、登録農薬でありさえすれば、問題ないとはいうものの、防除基準に載せるかどうかは、その自治体の権限事項であるにもかかわらず、独自色をだせないのはどうかと思います。
「全面削除した場合、代替農薬がなく生産できなくなる作物がある」「農薬の種類が少ない場合、連続使用により農薬が効かなくなる」とコメントしている青森県と共通の、農薬漬け農業を象徴する意識をどの自治体ももっているのでしょう。
奈良県と兵庫県の2県が、それぞれ、農薬を使わない耕種的防除法の導入や有機農業を推進しているとしていますが、この記述に望みをたくすることしかないのでしょうか。
★要請Aノニルフェノール系界面活性剤(APE)が添加されている農薬を農水省やメーカーに確認してほしい。
この件で、農水省に問い合わせを行なったのは23自治体中、東京都のみでした。
その他の道県は、内分泌系撹乱問題は、「国において調査研究が進められている」「国の権限・農水省の所管である」「調査する立場にない」などを理由に、確認することをしないとの回答でした。
APEの分解物であるノニルフェノールが魚のメス化の原因となることは周知の事実ですし、農薬の活性成分でないため毒性試験が十分に実施されていないことがわかっているにもにもかかわらず、APEが含まれているか否かを問わないという無責任さには、驚かされます。
もっとも、東京都の問い合わせに対する農水省の返事が「APEの有無は企業秘密である」ということだったようですから、これは、やはり、東京都のように「成分表示を行なうべきである」とい主張をもって、すべての自治体が、農水省をプッシュすべきでしょう。
★要請B内分泌撹乱農薬をどのような農作物に適用しているか
回答のあった23自治体中、明確に答えなかったのは青森県と福岡県の2県でした。なかでも、青森県は農産物の風評被害を招きかねないとの理由を挙げ、「回答を差し控える」としています。農薬防除基準は、公表されているはずなのに、対象としている作物名すら明かにできないというのは、いったいどういうことでしょう。このような態度であれば、たとえば、農薬の残留調査結果など、公けにすることも抑えられるのではないかと危惧されます。
回答をみると、それぞれの農薬について、防除基準にある個々の農作物名を挙げず、野菜とか果実、いも類などと種目名しか挙げていない県もあるのは、青森県と同じような意識の現れかも知れません。
自治体によっては、要請文に挙げた内分泌撹乱農薬の全部又は一部について、防除基準にないと答えたところもありました。また、埼玉県と東京都は出荷量ワースト3にノミネートされた農薬について、前者は「大手農薬販売業者があり、他県営業所分の農薬も含め一括仕入れを行なっているため、統計上農薬出荷が多くなっていると思われる」、後者は「東京に本社がある販売メーカーが購入し、それがさらに全国に出荷されても、東京向け出荷とカウントされる」とコメントしていますが、自都県内でどの程度の量の農薬が使用されているかはっきりしたことはわかりませんでした。
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作成:1999-01-25