農薬の毒性・健康被害にもどる
参考にすべきHP
*日本野鳥の会軽井沢支部にある野鳥大量死に関するページ
*ムクドリ(97年6月・98年3月) *1999年浅科村トビ大量死
t09304#長野県下における野鳥大量死と農薬の違法使用問題#99-09
9月5日の読売新聞に「長野県で続発 野鳥大量死の怪」と題して、佐藤記者による記事が掲載されました。この記事では、97年1月以降387羽の野鳥が怪死しており、中には農薬が検出されたケースもあり、農薬入り毒餌による野鳥駆除という鳥獣保護法違反の疑いがあると指摘されました。
同県では、下表に示したように、97年1月に渡り鳥のレンジャク集団突然死が各地で発生したのを皮切りに、98年、99年においては、被害は他の野鳥にも及びました。
これらの事件のうち死因が明かになった例は少なく、最初の下諏訪町のレンジャクについては、鳥が食べたピラカンサスの実に含有されている青酸配糖体によるシアン中毒と推定されました。また、97年2月の小諸市のレンジャク死では、リンゴ臭がした胃の内容物から有機リン系殺虫剤のEPNが高濃度で検出されました。冬にこのような農薬を使用することはないため、何者かがリンゴにEPNを仕込んだ毒餌をばらまいた思われます。
その後の野鳥死では、毒物指定のEPNのほか、劇物指定のメソミル、ベンフルカルブ等の殺虫剤が野鳥の体内から検出され、農作物の鳥害防止に、農薬の適用外使用がなかば、日常的に行なわれている実態が浮きぼりになってきました。県農業技術課による農薬の適正使用のよびかけや農薬適正使用監視協議会による農家の指導などの対策もとられていますが、毒餌の危険な使用は跡を絶たないようです。
農作物に対する鳥害防止を目的としたこのような農薬の違法使用は想定外の環境汚染や食品汚染、さらには毒物使用の犯罪にもつながるだけに、所管の農水省は、毒餌使用実態を調査し、即刻やめるよう農家に対する指導を強めるべきです。
表 野鳥死亡事件の発生経過
発生日時 野鳥の種類 発生場所 死亡数 原因
97年1・14 レンジャク 諏訪郡下諏訪町 51 ピラカンサス(シアン化合物)
1・17 同上 松本市浅間温泉 4
1・18 同上 岡谷市銀座 5
1・23 同上 諏訪郡下諏訪町 22
1・24 同上 長野市青木島町 1
1・25 同上 長野市岡田町 2
1・27/28 同上 上伊那郡飯島町 5
1・28 同上 長野市篠ノ井 7
1・29 同上 上伊那郡飯島町 1
1・29 同上 小県郡丸子町 5
2・8 同上 小諸市 67 EPN
2・18 同上 飯田市座光寺 10
3・7 同上 長野市赤沼 7
98年 8月 キジバト 駒ヶ根市 5 メソミル
カワラヒナ 46
スズメ 12
11月 ムクドリ 佐久市 71 EPN
99年 1月 トビ 浅科村/小諸市 14 ベンフルカルブ
(出典:衛生化学44巻17頁、信濃毎日新聞)
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作成:1999-10-27