農薬の毒性・健康被害にもどる
t09306#北九州市山田緑地における過剰肢カエルの発生−1999年の報告から#99-09
世界各地でカエルの過剰肢発生が問題となっており、その原因が論議されています。
本欄でも、てんとう虫情報59と77号で、カの駆除剤メトプレン説(カエルに肋骨奇形をおこすビタミンAの酸化物=レチノイン酸と類似構造を有する)を紹介しましたが、今年の春には、アメリカのスタンフォード大学とハートウイック大学の研究者たちが、寄生虫の一種吸虫類の感染が両棲類の肢形成に影響を与えることをみつけ、寄生虫説を唱えています。
日本で問題となっている北九州市山田緑地の過剰肢カエル(てんとう虫情報81号参照)について、同市の「カエル専門委員会」は今年の状況を以下のように報告していますが、環境ホルモンであるDDTの影響はいまひとつ明確ではありません。
@山田緑地の産卵場所(ガマの池)に集まった親カエルは、ニホンアカガエル
641匹、ヤマアカガエル 187匹で過剰肢個体はなかったが、他の区域で
2匹のヤマアカガエルオスの過剰肢個体を捕獲した。メスは出現時期が遅くな
るにつれて、小型の個体が多くなる傾向が有った。
A山田緑地で採集した卵塊の飼育結果は
・過剰肢個体が出現した卵塊は74卵塊中14卵塊(18.9%)であった。
・この14卵塊について、各卵塊ごとの過剰肢個体出現率は、 0.5%から
28.1%の範囲(平均10.5%)であった。
・この傾向は昨年の結果と同様であった。
B−1山田緑地で捕獲した正常親ガエル同士の交配から得られた卵塊の飼育結果は
・過剰肢個体が出現した卵塊は47卵塊中4卵塊(8.5%)であった。
・この4卵塊の過剰肢個体出現率は、1.3%から3.4%(平均2.0%)
であった。
B−2山田緑地で捕獲した過剰肢親ガエルと正常親ガエル(山田緑地及び田代)
の交配から得られた卵塊の飼育結果は
・過剰肢個体が出現した卵塊は3卵塊中3卵塊(100%)であった。
・この3卵塊の過剰肢個体出現率は、1.4%から2.3%(平均1.8%)
であった。
C対照地域(田代)で採集したヤマアカガエル卵塊を山田緑地で飼育した結果は
・8卵塊 405匹中過剰肢個体出現は0匹(0%)であった。
Dヤマアカガエル、ニホンアカガエル、水、底質のダイオキシン、DDT類につ
いて化学分析を行っており、まだ結果は出ていないが、DDT類の濃度は他の
区域に比べ高く、前回と同様であった。
E1998年に山田緑地で採集した過剰肢カエルを広島大学に飼育し、交配を依
頼している。来年1〜2月に交配予定。
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作成:1999-10-27