農薬の毒性・健康被害にもどる
t09806#八王子の水銀汚染問題−環境庁が工場視察、市は情報隠しを続ける#00-01
 八王子市の日本バイエルアグロケム(株)(NBA社)の工場跡地の水銀汚染問題は、八王子市の住民を中心に「日本バイエル公害問題市民ネットワーク」が結成され、解決に向けて運動が始められたことは前号で報告しました。
 99年12月17日に環境庁の大気保全局、水質保全局がNBA社の視察を行いました。当然、東京都、八王子市も参加していました。また、12月10日にNBA社は「近隣の皆様へ」というお知らせを出し、土壌中の汚染物質分析検査結果をようやく出しました。しかし、環境庁の検査項目にある塩素系物質については「当工場では使用した実績がない」として分析していません。非常に不十分なものです。

★データは会社が持っていると
 12月24日にネットワークは八王子市と話し合いを持ち、水銀処理のプラントを止めて環境調査、健康被害調査をするよう要望しました。八王子市は環境保全部長などが対応しましたが、情報公開で請求された資料の一部を出しただけで、他の一切のデータなどの公表を拒みました。
 市は水銀を加熱して回収する工事の許可を出しておきながら、東京都が「汚染土壌処理基準」で定めている工場等の配置図、作業のフローシート、原材料、使用薬剤の名称及び量、生産品目と生産量、廃棄物の種類・量及び処理処分方法、排水設備及び経路、その他必要な事項の調査結果等については、一切、持っていないので会社からもらってほしいと回答しました。
 「そういうデータもなしに許可したのか」という質問に対して、市は「会社の事務所で見せてもらっている。市は持っていない」の繰り返しでした。見せてもらっただけで検討もしないで許可してしまったというのです。「元々、この事業は会社が自主的に敷地内で行うという前提だから問題ない」とのことでした。
 しかし、市民グループの調査によって水銀が東京都の処理基準を超えて周辺土壌を汚染していることが明らかになっています。市も独自に環境汚染調査をする必要があり、そのためには上記の資料は絶対必要なものです。そもそも、汚染物質が水銀だけかどうかすらわかっていないのです。もっとも基本的なデータを市が持っていないことが事実ならとんでもない話です。

★ダイオキシンも出ていた
 また、NBA社の分析で排気口からダイオキシンが検出されたことが、12月17日の環境庁の視察で明らかになりました。
 市は「微量だから問題ない」としていますが、そもそもダイオキシンは塩素がないとできないものです。その塩素源は何かと尋ねると、「空気中にも塩素はある」などと驚くべき答えがかえってきました。NBA社が塩素系物質の調査をしていないため、苦し紛れの言い訳と思われます。
 「今現在、子供たちが苦しんでいるのです。早く健康調査をしてください。その間、プラントを止めてください」という若い母親たちの切実な願いを、八王子市は平然と無視しています。
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作成:2000-02-28