ダイオキシンにもどる
t10004#家庭用焼却炉排ガスから高濃度のダイオキシンが−塩ビを増せばダイオキシンが増える#00-03
 東京都環境科学研究所は、本年2月に、「家庭用焼却炉からのダイオキシン類の生成について」という研究報告を発表しました。この研究で、塩ビがダイオキシン発生源として無視できないことが一層明かになりました。
 まず、環科研の実験内容をみてみましょう。
【焼却実験条件】
 家庭用焼却炉(直径約40cm、炉内容積80L)を用い、10〜20kgの燃焼対象物を3〜5時間かけて、おおむね400〜600℃(炉直上の排ガス温度)で、燃焼実験が行なわれました。焼却対象物として、紙(再生紙、コート紙、広告紙)、杉角材、葉(ケヤキ、スダジイ、シラカシ、寒ツバキ枝付き)、ベニヤ板、建築用硬質塩化ビニル波板、ポリエチレンフィルムが使用されました。
 ダイオキシン類は、排ガスおよび焼却灰を対象に分析され、TEQ値で示されています。
<塩ビ混入率とともにダイオキシン生成が増加>
 杉角材に硬質塩ビを混入率5%まで混入して燃焼させた実験では、排ガス中のダイオキシン類濃度は、塩ビ混入率を増加させると、その率に応じて1000ngTEQ/m3まで増加しました(図1−略)。
 報告では「塩ビを含まない焼却物では、枯れ葉の一部を除いて排ガスダイオキシン濃度は数ngTEQ/m3であるのに対して、塩化ビニルが混入されると急速にダイオキシン濃度が増加することがうかがえる。家庭用焼却炉では、除塵装置が無いため、発生したダイオキシンはそのまま排出される。」と指摘しています。
 また、焼却灰についても、塩ビがない場合は、ダイオキシン濃度は0.01〜12pgTEQ/gであったの対し、杉材に塩ビを0.1ー5.0%混入すると、2.7〜150pgTEQ/gに増加しました(図2−略)。

<卵パック1個燃やすと東京ドーム内の空気がダイオキシン大気基準の2倍程度に>
 焼却物1gあたりのダイオキシン類発生量をまとめたのが、表に示した原単位です。単一焼却物では、塩ビが圧倒的に高く、1g当たり約140ngTEQのダイオキシン類が発生し、混合焼却物の例では、塩ビを2%混入した場合、ダイオキシン生成量が1g当たり、排ガスで20倍、焼却灰で17.5倍増加していることもわかります。
 報告では「この値からスーパー等で売られているタマゴの包装に使用されているパックについて、試算すると、家庭用焼却炉で塩化ビニル製タマゴパック1個(10個用:約11g)を焼却すると、東京ドーム内の空気全体が環境基準(0.6pgTEQ/m3)の2倍程度になる。」と指摘しています。
表 ダイオキシン類発生量の原単位(g当たり)

 燃焼対象物                    排ガス    焼却灰
                               ngTEQ/g   pgTEQ/g
単一燃焼対象物     紙           0.017    0.0021
                   材木(杉)     0.0019   0.0037
                   枯れ葉ケヤキ    0.17     0.28
                   同スダジイ     0.015    0.26
                   同シラカシ       0.0074   0.90
                   硬質塩ビ   140       10
紙/葉/ポリエチレンフィルム(49/49/2)      0.28     0.63
紙/葉/ポリエチレン/塩ビ(50/46/2/2)   5.6     11
<ゴミへの食塩添加によるダイオキシン生成は認められない>
 塩ビ業界は、自らの責任を転嫁するため、ダイオキシン・食塩元凶説をとなえています。私たちはてんとう虫情報69号と84号で、彼らの主張を批判・反論し、焚き火に塩水をかけダイオキシンが生成するかどうか実験してみたらと提案してきましたが、環科研が、このような実験もやってくれました。
 報告では「燃焼対象物(紙、枯れ葉など)に食塩を混入率0.2%で混入させた場合と、させない場合とで排ガス中のダイオキシン類濃度を測定した。それぞれ、2回の実験をしたところ、食塩を添加した場合も、しない場合も排ガスダイオキシン類濃度は20〜40ngTEQ/m3程度であり、食塩の添加によるダイオキシンの生成は認められなかった。」としています。
 塩ビ業界の主張する食塩元凶説は、食塩から塩化水素が発生しやすい、800℃を超える高温、活性白土のような固体酸存在下で、流動床型焼却炉をもちいた実験を根拠にしていますが、家庭用焼却炉では、食塩よりも塩ビがダイオキシン発生の元凶であることがはっきりしました。

<塩ビ業界の無責任広告は許せない>
 すでに、愛媛大学の脇本さんが家庭用焼却炉に塩ビを投入することにより、ダイオキシンが発生することを報告していますが、今回の都環科研の研究は、これを、定量的なダイオキシンと塩ビ焼却の関係として確認したものといえます。
 このような実験結果にもかかわらず、3月10日の全国紙に塩ビ工業・環境協会は「減らすのはダイオキシン。」というキャッチフレーズの全面広告を掲載しました。いわく、「ダイオキシンの削減には、ゴミの減量化と焼却管理が有効です」「ダイオキシン類は何を燃やしても発生する可能性があります」「塩ビのリサイクルはプラスチックの中で最も進んでいます」ともあります。
 まるで、ドロボウが「盗まれないためには戸閉まりをしっかりしてください」といっているみたいです。
 よくまあ、こんな無責任なことを、塩ビ業界はいうものです。
 塩ビを含むゴミの焼却により発生するダイオキシンが環境汚染につながらないように、焼却施設や焼却管理に私たちの税金を投じられていることに対して、業界は、他人事としてしか受け止めていないようですし、農ビフィルムを消しゴムにするようなリサイクルを自画自賛することにどんな意味があるのかと問いたくなります。
 その上、塩ビのもうひとつの問題、内分泌系撹乱物質であるフタル酸系可塑剤やビスフェノールA系添加剤について、広告ではひとことも触れていません。
 脱焼却・脱塩素は、ダイオキシン・フリー社会をつくるには、必須の条件です。そのためには、塩ビ製品をできる限り追放していきましょう。
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作成:2000-04-28