農薬の毒性・健康被害にもどる
t10206#跡を絶たない農薬事故・事件特集B家庭用品の吸入事故原因では、殺虫剤類が最も多い#00-05
 去る2月厚生省が公表した『平成10年度家庭用品に係る健康被害病院モニター報告』をみてみましょう(厚生省ホームページ)。  平成10年度の報告件数は、皮膚科237件、小児科747件、吸入事故等591件で合計1,575件でした。このうち、日本中毒情報センターからの吸入事故等に関する報告の詳細を過去3年分、原因製品上位10品目別に下表に示しました(なお、平成10年度では、眼に飛散した事例を含むが8、9年度は含まれない)。

 同報告にみられる平成10年度の原因製品別で、ワースト1は殺虫剤(医薬部外品を含む)で、126件(21.3%)でした。薬剤名は不明ですが、極端な大量使用や直接人体にかかってしまった例、燻煙後に換気をせずに室内に入った例、子供の近くで使用し、子供に影響が出た例など、があったということです。
 ワースト2は住宅・家具用の洗浄剤で117件(約20%)でした。そのうち次亜塩素酸系の製品が61件で、風呂場やトイレのような密室で十分な換気をせずに使用した事例が見受けられました。また、酸性物質と混合し、塩素ガスを発生させてしまった事例も6件みられたということです。
 ワースト3は、漂白剤の64件(約12%)で、そのうち次亜塩素酸系の製品が41件を占めています。原液での使用や、適用量以上に使用した事例がみられ、また洗浄剤と同様、酸性洗浄剤の混合で塩素ガスを発生させてしまった事例も8件みられました。
 報告では、『次亜塩素酸系の洗浄剤・漂白剤は、酸性の洗剤や洗浄剤との併用あるいは混合により猛毒の塩素ガスが発生する。塩素ガスの吸入により、時には命を落とすこともあり、極めて危険であり、酸性の洗剤や洗浄剤と混合してはならない。』と警告されています。
 被害にあった人を年齢別にみると、0〜9歳の子供が252件(42.6%)と半数近くを占めていました。また、性別では、女性が311件(約53%)、男性が216件(約37%)、不明が64件(約11%)でした。死亡事例は報告されていないとのことですが、被害者のその後の健康状態については、調べられていません。
 この事故報告は、私たちの身のまわりで、何気なく使用している家庭用品にも注意を払う必要があることを物語っています。

表 年度別・家庭用品等吸入事故のべ報告件数(上位10品目、()内は%) :省略
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作成:2000-06-28