街の農薬汚染にもどる
t10401#あまりにひどいアメリカシロヒトリ対策の農薬散布−登録農薬を使え、希釈倍数を守れ、立て札をたてろと農水省が指導#00-07
 石川県金沢市で実施されているアメリカシロヒトリ(以下アメシロ)対策の農薬散布(記事t10306)について、農水省は、金沢市が散布しているディプテレックス乳剤は、1500倍に希釈して散布すべきなのに1000倍で散布しているとして、登録要件を守るよう指導していました(朝日新聞6月20日)。
 散布に反対している市民団体「サスティンナブル金沢」は、金沢市の散布状況が同規模の他市に比較してあまりにも多すぎると批判していました。これを受けて金沢市は独自に政令市、中核市、県庁所在地などの農薬散布状況を調査しました。
 市の調査結果を見ると、街路樹、公共施設等で薬剤散布をしている都市は、57調査都市中40都市(約70%)。使用薬剤はディプテレックスが27市で一番多く、ついでスミチオンが14、カルホスが7、スプラサイドが3、DDVPが3などと続き、他にオルトラン、アドマイヤー、BT剤、オフナック、トレボンなどが使用されていました。ディプテレックス乳剤を散布している自治体は、すべてが1000倍に希釈していました。また、スプラサイドはアメリカシロヒトリに適用がなく、使用できないものでした。
 さらに、ディプテレックス乳剤のラベルを検討してみると、希釈倍率以外にもさまざまな安全使用上の注意が書かれているのに、ほとんど守られていない実態が明らかになりました。つまり、全国的に自治体自らがデタラメな農薬散布を行っていたわけです。
 反農薬東京グループは、農水省に対して
@全国的に使用されているディプテレックス乳剤の希釈倍数が守られていない。
Aスプラサイドはアメシロに登録がないのに使用されている。
Bディプテレックス乳剤のラベルには散布後、少なくともその当日は立入禁止の措置をとるとなっているが、守られていない。
C散布者がマスクもしないで作業をしている。
Dディプテレックス乳剤のラベルは裏の接着面に希釈倍数が書いてあり読めないのはおかしい。
 等、実例を挙げて指導するよう申し入れました。
 農水省農薬対策室は、直ちに調査して対応するとのことでしたが、7月11日付けで以下のような文書を出しました。
 一応、一歩前進といえますが、実際に役に立つかどうかは反対派の運動にかかっています。そもそもこの通達は、農水省→各地方農政局→都道府県→市町村と、とろとろ長いルートを辿って、ようやく事業者の市町村まで行きます。 たとえ、無事届いたとしても市町村の担当者が理解するかどうか不明です。
 反対派は、直ちに、市町村に電話をして、このような通達がきているかを問い合わせる必要があります。
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各地方農政局生産流通部長殿
                    農蚕園芸局植物防疫課長

街路樹等の病害虫防除における農薬の適正使用の徹底について

 農薬の適正使用は、農業生産の安定のみならず、国民の健康の保護及び生活環境の保全の観点からも極めて重要であり、「農薬危害防止運動の実施について(通知)」(平成12年5月29日付け厚生省発医薬第127号、12農蚕第3770号厚生事務次官、農林水産事務次官通知)、「病害虫・雑草防除における農薬の適正使用の徹底について」(平成2年12月25日付け2農蚕第7657号農蚕園芸局長通知)等を通じて、その適正な使用の徹底をお願いしているところである。
 しかしながら、今般、街路樹等の病害虫防除において、一部に農薬の不適切な使用がみられ、問題を生じていることから、防除業者等の行う当該防除について、下記事項の遵守徹底が図られるよう、貴局管下都府県に対し、関係部局との緊密な連携の本での適切な指導の要請方お願いする。

               記
1,農薬取締法(昭和23年法律第82号)に基づき農林水産大臣の登録を受けている農薬を使用すること。
2,使用に当たっては、農薬の容器又は包装に記載されている表示事項に基づき、適用作物、適用病害虫、希釈倍数等定められた使用方法を必ず遵守すること。また、農薬用マスク、保護メガネ等防護装備を着用すること。
3,散布に当たっては、散布前に関係者に連絡し、必要に応じて立て札を立てることなどにより、子供その他の散布に関係のない者が作業現場に近づかないよう配慮するとともに、居住者、通行人、家畜等に被害を及ぼさないよう注意を払うこと。

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作成:2000-07-25