街の農薬汚染にもどる
t10405#投稿:新座市の樹木管理が全国に広がりますように!#00-07
 僕は埼玉県新座市に住んで14年になります。新座市の市民として誇りに思うことが二つあります。一つは平林寺に代表されるように自然が豊かなことです。もう一つは、新座市が薬剤散布(農薬・除草剤)に頼らず、生態系を生かした樹木管理を実現していることです。

 1991年から始まった「こどもの健康を守る会」と新座市教育委員会による「生態系を生かした学校樹木の管理について」の研究会の結果を受けてのことです。また、その研究結果を研究報告書や「虫はともだち〜校庭はぼくらのランダーランド」「むしむしケムシ」のポスターなどで広く市民に広報活動もしてきました。
 新座市の活動の根底にあるのは、環境破壊による危機が叫ばれていることと、市街地での農薬散布が市民、特に体の小さい子ども達の健康に与える影響は計り知れないものがあるとの認識があってのことです。

 定期薬剤散布は6年前から一切行っていません。それ以前は年4回の定期散布でした。今、散布されるのは、チャドクガとかクモが大量発生したときにほんの少しという状態です。それに対しても、チャドクガに薬剤を散布しても、卵には効かないし、ドクのある毛が葉に残るし、死骸に触れてもかぶれるので意味がない。大量発生したクモもどんな害があるのか調べてから判断してほしいと要望しています。
 市役所の窓口に薬剤を取りに来ても、配布しません。市の広報誌を使って薬剤散布の無意味さなどを特集する約束もしてくれました。新座市は、埼玉県に対して新座市内の県管轄の施設への薬剤散布自粛要請も行ってくれました。

 僕たちは「生態系を生かした樹木管理を考える市民の会」を作って、今度は埼玉県に対して新座市と同じく薬剤散布をやめ、生態系を生かした樹木管理に切り替えるよう要求していきます。今、賛同者を募っています。
 全国の薬剤散布廃止を要求しておられる皆さん、恐れることはありません。定期散布をやめた最初の2,3年は気にかかる発生状況かも知れませんが、天敵である昆虫類が増え、鳥たちが餌場にしてくれるようになると気にならなくなります。たまに大量発生がしても、定期散布をしているところでも同じく大量発生しているのです。
 そして、数年もたてば、昆虫が沢山棲み、鳥たちが巣を作り、その他の虫たちもいっぱいになります。その時、人間がかって害虫と名付けた毛虫がまるで気にならなくなります。樹木のあるところには他の生物もいて当たり前という感覚になっています。
 もちろん、人体に毒となる虫は大人が注意して見回ることが必要ですし、子ども達に「この季節、この樹木には毒をもった毛虫がいることがあるから」と伝えることも必要です。子ども達の感覚は柔軟で「通学路にもこの木があって見たらチャドクガがいたよ。」など教えてくれます。
 よく問題になるアメリカシロヒトリですが巣網をつくりますので高枝切りバサミや松明で処理するなど駆除は簡単です。アメリカシロヒトリは鳥の餌になりやすく、生態系がしっかりしている所では大量発生しません。雑木林の中へは入っていけない種です。

 定期薬剤散布の問題は、害虫の存在にあるのではなく「消毒という名のもとに虫という虫を殺してしまえ!」という人間の感覚にあるという気がします。そういう感覚の人たちにはどの毛虫もみんな害虫となります。ですから、その毛虫が何という名前で、どの樹木に発生するか、いつ頃発生するか,どんな害があるのか、などまるで知ろうとしません。ましてや、生態系の中で人間も生かされてる一種の生物にすぎず、生態系を破壊することは、人類そのものも破滅に追い込むことだと言うことを認識しようともしません。ほんのわずかの勉強もしようとしません。
 薬害についても、これほどマスコミで取り上げられているのに、その人達の家には、テレビも新聞もないかのようです。知らないということは恐ろしいことですが知ろうともしないことは罪なことです。
 そして農薬の危険、散布の無意味さを訴える声をありとあらゆる手を使って封じようとします。発言の場を奪い、発言してもいないことが発言したことになっていたり、反対と言ったことが賛成と言ったとなっていたり、とにかく多数決で押し切ろうとしたり、、、、等々です。
 反対と声をあげてくれる人も一部ですが、何が何でも散布しろという人もごく一部です。大多数の人たちは“善意者の沈黙”です。ですから、めげることなく農薬のこと、毛虫のこと、生態系のことを繰り返し繰り返し伝えていくと必ずいい方向に向かいます。

 金沢の皆さん、今はいろいろつらいこと、悲しいことがあると思いますが絶対に大丈夫です。農薬散布が廃止になりホッとできる日が必ず来ますよ。応援しています(金沢市)。
 新座市の樹木管理が素晴らしくなったのは「子供の健康を守る会」の人たちが、子供をおぶりながら「農薬散布をするなら私たちが手取りで駆除します。」と活動されたこと。それと新座市教育委員会が前面に立って取り組み、研究、広報活動を行ってくれたことです。この新座市の姿勢が全国の自治体に広がることを祈っています。
 僕たち次は埼玉県に広げます。
                       西田(埼玉県新座市)

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作成:2000-08-25