環境汚染にもどる
t10507#反農薬東京アドバイスJ不用になった農薬をどう処分したらいいの−余分に買うな、買ったら使い切れと行政#00-08
【質問】
 以前、家庭菜園や庭木の手入れ用に農薬を買いましたが、「農薬いらずの庭づくり」を読んで農薬は使いたくないと思いました。余った農薬をどう処分したらいいでしょうか。

【答え】
 困りました。結論を言えば簡単に処分する方法はありません。日本には家庭の有害ゴミを回収するシステムはありません。家庭用の少量の有害ゴミをどう処分したらいいかあちこち聞いてみましたが、どこも明確な回答はありませんでした。以下、行政の見解を紹介します。

★厚生省−別のところに聞いてくれ
 ◇医薬品局審査管理課◇
  医薬品や医薬部外品の殺虫剤の審査はしているが、その使用や廃棄については所管していない。保健所に聞いてほしい。(なぜ保健所なのかについて明確な回答なし。最終的に廃棄物だから環境整備課に聞いてほしいと逃げる)
 ◇環境整備課◇br>  一般廃棄物は市町村、産業廃棄物は都道府県がやっているのでそちらに聞いてほしい。厚生省としての通知などはない。

★農水省−市町村に聞いてくれ
 ◇植物防疫課◇
  家庭用の農薬ということだったので、厚生省に問い合わせた。家庭用だと一般ゴミになるので市町村に問い合わせてくれとのことだった。市町村からは必ず処理方法について指示が得られるはず。産業用の廃棄物ではないので、一般の廃棄物の扱いの中で適正に処理するべきだ。農水省として特段の意見はない。

★東京都−製造メーカーに問い合わせてくれ
 ◇産業廃棄物課◇
  市町村では引き取らないはずだ。製造メーカーに問い合わせるのが一番早い。農家などで大量に余った場合、産廃の業者を紹介するが、一般家庭だと紹介はしない。1、2本では仕方ないだろう。特別管理廃棄物に該当すると、処理できるところが少ないので少量だと非常に高くなる。
 ◇廃棄物対策部区市町村支援係◇
  家庭用で量が少ないから、一番基本は買ったところに返すということだ。引き取ってくれるかどうかはわからない。現実的には難しい。後は産業廃棄物の業者に頼むしかないが、量が少ないと難しいだろう。市町村が回収しても処理できない。もともと使うということで購入しているはずだから使う分だけ購入してほしい。

★保谷市−使い切ってくれ
 ◇ゴミ対策課◇
  保谷市では液体の農薬や薬品は回収していない。スプレー缶は使い切ったものを穴をあけて不燃物として出すようにしている。余ったら噴射して空にしてほしい。とにかく使い切ってもらうのが基本だ。沢山残っているときは買った店に問い合わせをしてもらう。引き取ってくれるかどうかわからない。どうしてもあまって困るという場合は、産業廃棄物の業者を紹介しているが高いと思う。使わないものは買わないでほしい。

★防疫用殺虫剤工業界−市町村で使うものしか関係ない
 ◇事務局>◇
  防疫用殺虫剤は市町村が買い、市町村が使うもので、市販されていない。余ったものについては有償で産廃業者を紹介している。一度、清掃工場から相談があったが、農薬工業会に聞いて薬剤をボロ布にしみ込ませて、焼却する方法を教えた。家庭用殺虫剤の製造メーカーが一缶単位の返品まで受ける必要があるのか、そこまで考えなければいけないのか疑問。買った以上、使い切ってほしい。

     ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
 このように不要薬剤の処分方法について、責任ある答えはどこに聞いても得られませんでした。
 家庭での長期間の保管は危険です。スプレー缶の腐食による薬剤の漏出や高温になる場所での保管は爆発の危険があります。また、その他の容器ではフタのすきまから農薬成分が気体となって少しずつ漏れだし、部屋の中の空気を汚染します。農薬には有効期限があり、時間の経過とともに有効成分が他の有害物質に変わるおそれもあるのです。
 いままで業界は不要農薬の回収を怠ったために、残薬を効能書きにない虫の駆除に流用したり、鳥や犬猫の殺害に使うといった悪質な使い方、また、有害なガスが出るたき火への投入や河川への投棄といった処分も後を断ちません。
 一方、産業廃棄物処理業者に処分を依頼しても、無害に処理するかどうかわかりません。
 引き取り責任は製造メーカーにあります。有害金属を含むボタン型電池は店頭に回収ボックスが置いて回収していますが、同様な方法が農薬販売店でとれないわけがありません。そのための指導を行政はすべきです。事件事故が起きてからでは遅すぎるのです。
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作成:2000-09-25