室内汚染・シロアリ駆除剤にもどる
t10604#B静内町特養ホーム殺虫剤中毒事件で保健所が回答拒否#00-09
 北海道静内町の特別養護老人ホーム静寿荘での殺虫剤による中毒事件(記事t10504)について、被害者の被曝状況や症状を調査した静内保健所に内容を明かにするよう申し入れましたが、同保健所から「静内町からの依頼により実施したものなので、当所からお知らせすることは控えさせていただくことをご了承ください。」との回答がきました。特養施設の管理責任者である町長や園長、保健所長がそろってだんまりを決め込むというのは、異常な事態だといえます。この事件に関して、さらに、行政側の責任を問うていくことが必要でしょう。

★業界の自主性ってこんなもの
 業界紙「PCO新聞」263号によると、散布した北海道防疫燻蒸社が会員でもある日本PCO(ペストコントロールの略称)協会は、今回の事故が新聞報道された後の6月20日に「緊急連絡」として、各都道府県協会長宛てにファックス文書を流し、@薬剤の適正な取り扱いの徹底、A安全管理・運用の徹底を図るための教育を行なう、B人的事故が発生した場合は早急に協会への状況報告を行なう、C防疫薬の必要最小量の使用と、薬剤の効力特性を考慮し人の出入りする場所での使用に関する注意−等安全管理の徹底を求めたそうです。この通知を受けて、北海道PCO協会は7月7日に、全道から会員会社の経営者、施工責任者、作業従事者等90人を集めて、安全講習会を開いたということです。
 さらに、同紙は『これまでPCOの作業上の事故はマスコミで大きく取り上げられる事は少なかったが、今後も薬剤関連の事故が起きるようだと、危険な化学薬剤を扱う業種としてマークされることも考えられる。また、近年の相次ぐ毒物混入事件やシックハウス症候群の問題など、殺虫剤を取り巻く環境は年々厳しくなっている。こうした状況を踏まえ、PCOは以前にも増して、薬剤の取り扱いには最大限の注意を払うべき時期に来ている。』として、業界の危機管理の重要性を訴えています。
 マスコミといえば、今年は、雪印乳業の食中毒事件に端を発し、食品中に虫などが混入していたという報道が、毎日のようになされています。PCO業界は、これを絶好の商機到来ととらえて、食品業界に攻勢をかけているのではないでしょうか。せっかく消毒してもらったのに虫が見つかった、どうしてくれるというクレームを避けるために、過剰の殺虫剤が散布されるということもあり得ます。そういえば、学校給食のパンに検出された残留農薬が、製パン工場の消毒剤に由来していた話もありましたね(てんとう虫情報83号参照)。虫の混入は眼につきますが、くれぐれも、食品中に見えない意外な農薬が残留していないよう願いたいものです。

★業者はひとつ、法規制はないかバラバラ
 タウンページ電話帳の『消毒業』の項を見てください。防除業者の多くは、例えば衛生害虫のみの防除をやっているのではなく、シロアリ防除/ゴキブリ防除/不快害虫防除/鼠防除/防黴殺菌処理/ハチ・キクイムシ防除/食品工場・病院・レストラン・ビル・文化財の害虫駆除消毒などさまざまな仕事を兼ねています。また、彼らの多くは複数の肩書をもっていて、日本しろあり対策協会会員/日本木材保存協会会員/環境衛生協会会員/日本PCO協会会員/東京都PCO協会会員などの業界団体のほか、ビル管理法による登録業者であること示す登録番号が載っている場合もあります。
@同一業者が私たちの生活環境周辺のいろいろな薬剤処理にかかわっている、A同じ薬剤成分がいろいろな防除処理に使われている、にもかかわらず、B縦割り行政のため取締まる法律はバラバラか、法規制を受けない抜け穴がある、C業界でつくる協会によるの自主規制しかない上、協会に加盟している業者は一部のみ、さらに、実際に作業するのは、下請け孫請けの業者だという実態もあるわけですから、静内町のような中毒事件が、これからもおこる恐れが十分考えられます。
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作成:2000-10-25