「生活環境で使用する殺虫剤等の規制に関する法律」関係にもどる
t10803#生活環境における有害化学物質規法制定のために−第一回シンポジウム開かれる#00-11
 10月26日、「生活環境における有害化学物質の規制法制定のために−第一回シンポジウム」が、約100名の市民、議員・秘書、行政、研究者、報道関係などが参加して参議院議員会館で開かれました。本誌105号で報告したように、「生活環境における有害化学物質の規制を考える議員と市民の会」が結成され、生活環境での化学物質の規制法求めて活動を開始しましたが、シンポジウムはその第一回目の公開ヒアリングでした。呼びかけ人国会議員は民主党、社民党、無所属の15名になっています。

 シンポジウムはまず、呼びかけ人国会議員を代表して民主党の岡崎トミ子参議院議員が、ひとつづつヒアリングを重ねてその声をもって官僚や企業を動かし、必ず実効のある規制法を作りましょうと挨拶しました。また、社民党の中川智子衆議院議員も挨拶しました。
 続いて、殺虫剤がいかに安易に生活環境で撒かれているかを映像記者の二宮さんが最近の散布された団地の例をビデオで説明しました。

 被害者からの報告と問題提起は4件ありました。まず、盛岡市の冨山利子さんが「ゴキブリ駆除で健康被害の上職まで奪われて」と題して、勤務していた会社の寮でゴキブリなど生息していないのに殺虫剤を撒かれ、有機リン中毒になってしまった状況を報告しました。冨山さんは仕事ができなくなり、現在、裁判で争っています。
 続いて、「化学物質過敏症患者の実態」を化学物質過敏症全国相談窓口の道本みどりさんが報告しました。道本さんは1993年に化学物質過敏症を発症し、苦しい闘病生活を経た上で、現在、患者の相談を受けています。その経験から化学物質過敏症の症例をいくつか紹介しました。こんなにも苦しいものなのかと会場に驚きの声が上がりました。
 3番目は、本誌でも何回か報告している金沢市の殺虫剤散布に関して。「アメリカシロヒトリ駆除で街中農薬だらけに」と題して、サスティンナブル金沢の小沢祐子さんが報告しました。小沢さんは子ども達に殺虫剤が与える影響を懸念して、毒性について最新の情報を報告しました。
 最後に、本誌でも問題提起している「無規制農薬の氾濫」。神奈川県の二宮敬嗣さんが報告しました。無登録の農薬が規制のない非農耕地用として、実態は農家向けに売られている実態をOHPで映しました。農薬取締法が機能していない状況が明らかになりました。
 続いて植村振作さんが「急がれる生活環境における有害化学物質規制法制定」と題して講演しました。植村さんは被害者の報告を聞いて、何故、規制法が必要なのか問題点をまとめて話しました(詳細はt10804)。

 講演の後、会場からの発言を受けました。
今回のシンポジウムの目的は、身近な場所で使われる化学物質によってどのような被害がでているか、どういう問題があるかをできるだけ多くあげることでしたので、参加者からの発言も多岐に渡りました。
 養殖魚に使われるホルマリンが海底をのっぺらぼうにしているという事実、シロアリ防除剤による被害者からの訴え、幼稚園、公園などで安易に散布される農薬によって子どものアレルギーが悪化した報告、樹木管理に農薬を使用しない埼玉県新座市の報告、ラジコンヘリコプターで空中散布されて体調を崩してしまったという訴え、八王子市にある農薬工場跡地での水銀処理により周辺住民に健康被害がでているという訴え、農業現場で農薬を多用していることを何とかしないといけないという指摘、建築基準法が溶剤などの使用を義務づけているから現行法も見直すべきだという主張、化学物質過敏症患者の訴えなど、いずれも、法的規制がないため野放しになっている状況を何とかしなければという内容でした。
 最後に植村振作さんが、それぞれの場所で化学物質使用を減らす運動が基本になる、しかし、それだけではどうにもならないのでしっかりした法律を作りたいということで今日の会議を持った。法律ができればすべて解決するというものではない。お願いするのではなくて、自分たちで現状を変えていく声をあげようと結びました。
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呼びかけ人国会議員 (50音順)
阿部知子衆議院議員(社民党)、石毛えい子衆議院議員(民主党)、大島令子衆議院議員(社民党)、
大淵絹子参議院議員(社民党)、岡崎トミ子参議院議員(民主党)、小林守衆議院議員(民主党)、
桜井充参議院議員(民主党)、佐藤謙一郎衆議院議員(民主党)、清水澄子参議院議員(社民党)、
竹村泰子参議院議員(民主党)、中川智子衆議院議員(社民党)、中西績介衆議院議員(社民党)、
中村敦夫参議院議員(無所属)、福山哲郎参議院議員(民主党)、山口わか子衆議院議員(社民党)
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作成:2000-12-20