環境ホルモンにもどる
t11301#学校での農薬類不使用を求めて−都内62の教育委員会、私立学校協会等へ要望書#01-04
子どもの健康を守るため学校での農薬使用が問題になっています。前号で、東京都教育委員会が都立学校で環境ホルモン系農薬の使用を禁止した通知を出したことをお知らせしました。私たちはこの決定を子ども達の健康を守るための施策として評価するものですが、東京都の学校全体で農薬使用をなくすためにはいくつか不十分な点があり、各教育委員会などに要望書を出しました。
都教育委員会の通知は、学校現場で使われる一部の化学物質が、極微量であってもヒトのホルモン作用を乱す恐れがあるとして使用禁止にしたものですが、農薬は、殺虫・殺菌・除草を目的とするため、それ自体に高い毒性を持っています。また、なかには発がん性や遺伝子を傷つけるなど、ホルモン撹乱作用以外の毒性を併せ持つものもあります。
こうしたことから、環境ホルモン物質の排除と合わせて、学童・生徒や教職員の危被害を防ぐ手立てとして、いままで取り組みのなかった「農薬類の使用規制」が重要です。すでに安全な学校環境を目指して、神奈川県、岐阜市、埼玉県の県立高校などで農薬管理の指針を定めて施行している自治体もあります。
また、一般的に校舎内や給食設備内の害虫駆除にも、農薬と同じ成分の殺虫剤が使われますが、その実施根拠とされるビル衛生管理法や食品衛生法では、「駆除方法」を必ずしも「殺虫剤の使用」とは定めてはおらず、都衛生局でも防虫構造の改善など物理的防除の優先施工を求めています。神奈川県の相模原市など、要綱を定めてすでに施行している自治体もあります。
生徒・児童は発達途上にあり、殺虫剤によるアレルギーなどの症状も成人より少ない量で現れる懸念のあることから、教育施設ではできる限り農薬類を使わない方針が求められます。
要望書は、都教育委員会以外に、区市町村の教育委員会(61カ所)、私立幼稚
園連合会、私立初等学校協会、私立中学高等学校協会に提出しました。
【要望書】
1,都教育委員会が、学校での環境ホルモン系農薬の使用禁止を通知しましたが、私立学校、幼稚園へも同様の通知を出してください。
2,学校・幼稚園敷地内の植樹にあたり、チャドクガなどヒトに危害を及ぼすこん虫が付かないような樹種選定が、農薬使用の低減につながります。
合わせて学校内の緑化管理や敷地内の除草をする際には、物理的な手法を優先し、農薬を使わないよう求めますが、いかがされますか。
3,校舎・園舎内、給食施設のこん虫駆除のための殺虫薬散布は、室内の空気を汚染するために生徒への健康影響や労働衛生上やめるべきと考えます。
2000年度、小中学校・幼稚園ではこうした薬剤散布が行なわれましたか。
2001年度からの中止を求めますが、いかがされますか。
4,万一、農薬や殺虫薬を散布する場合は、保護者へその旨を予告通知し、生徒・教職員が薬剤に触れたり、散布された場所に立ち入ったりすることのないよう、万全の対策が必要と思われますが、具体的に今後どう対応されますか?
5,農薬を散布する際に、樹木への付着をよくするため、展着剤を混ぜることがあります。
展着剤の中には貴庁通知の資料リストNo.57のアルキルフェノール系界面活性剤(APEという)を含むものがあります。
環境ホルモンの影響を防ぐには、農薬活性成分だけでなくこうした展着剤の使用禁止も合わせて行うべきと考えますが、いかがされますか。
また、農薬製剤には、このAPEやリストNo.59、No.67のフタル酸エステル系化合物が補助成分として添加されている恐れがあります。
こうした補助成分について、私たちは農林水産省に添加の有無を確認しましたが、
「成分名と添加量は企業秘密である」として教えてもらえませんでした。
学校で使用する場合には、個々の農薬ごとにAPEやフタル酸エステルが添加されていないか、使用前に製剤メーカーに問い合わせることを義務付け、もし、含まれていたり回答のない場合は、その薬剤を使用しないようにしてください。
6,「農薬の保管状況と散布状況に関する調査(通知12教学高第824号の第3項)」をモデルとして、リスト以外の農薬についても、同様の調査を実施するよう求めますが、いかがされますか?。
7,東京都教育庁の資料リストから除外されていますが、旧通産省リストには、子どもの頭ジラミ駆除やハエ・カ用殺虫剤として用いられる「フェノトリン」(商品名スミスリンなど)があがっています。最近では、衛生局環境指導課でもこの薬剤に頼らないシラミ駆除の方法を紹介していることから、フェノトリンも使用禁止してください。
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作成:2001-04-28