行政・業界の動きにもどる
t11506#「農薬は適正に使用されていない」農薬危害防止運動の通知−農水省、ホームページで周知せず#01-06
 毎年6月は「農薬危害防止運動」が行われますが、今年は5月29日付けで、厚労省医薬局長、農水省生産局長名の通知「農薬危害防止運動の実施について」が出されました。期間は原則として6月1日から30日まで、実施主体は厚労省、農水省、都道府県、保健所を設置する市及び特別区となっています。
 運動の趣旨の説明に、「農薬の散布中の事故は後を絶たず、また農薬の用途外使用や無登録農薬の違法な販売、使用等の事例もみられる状況にあり、さらに昨年は街路樹等の病害虫防除における農薬の不適切な使用もみられた」と書かれており、農薬が適正に使用されていないとしています。
 農薬事故は、正しい知識の欠如に起因する場合が少なくないとして、この運動を通じて、「農薬の性質及び作用、その危害の防止方法、その適正な使用及び保管管理の方法等を広く周知徹底させるとともに、関係法令等の周知を図ることを目的として農薬危害防止運動を実施する」としています。
 国が実施する事項は、(1)広報誌等による啓発宣伝、(2)正しい知識の普及の2つだけですが、農薬の適正な使用や保管管理、中毒時の応急措置等について解説した資料を作成、配布するとあります。

★住宅地での農薬散布は都道府県が指導
 都道府県が実施する事項は広範です。一般的な啓発宣伝の他、児童生徒にこの運動の趣旨の普及を図るとあります。突然、児童生徒がでてくるのには驚かされますが、学校での農薬使用を禁止するというのではなさそうです。では、児童生徒に何を教えようとするのでしょうか。まさか、農薬を扱わせるのではないでしょうね。
 「環境への危害防止対策」の中に、「居住区域と近接した地域における農薬の散布作業に従事する者に対し、周辺住民の健康及び生活環境の保全に留意し、農薬の適正な使用方法を厳守するよう指導する」とあります。
 従来、近隣での農薬散布によって健康被害を受けても、行政は何も動きませんでしたが、今後、都道府県は、「周辺住民の健康及び生活環境の保全に留意し」て、指導ができることになります。被害を受けたら、直ちに都道府県に訴えましょう。
 また、JAS法に基づき有機農産物の生産を希望する農家のほ場周辺で農薬の散布作業をする場合には、農薬の適正な使用を徹底するよう指導するという項目もあり、有機農家に対して、農薬空中散布だけでなく、地上散布についても指導することになっています。

 通知では、国が啓発宣伝を行うとあるのに、農水省のホームページにも載せておらず、簡単な記者発表資料だけでお茶を濁しています。広範に周知しようと言うのなら、まず、通知全文をホームページに載せるべきです。農水省がやらないため、当グループのホームページに載せておきます(危害防止運動通知全文へ)。
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作成:2001-07-23