行政・業界の動きにもどる
t12002#環境省が農薬環境懇談会を設置#01-10
 環境省は、農薬の生態影響評価、POPs条約対応、環境ホルモンへの対応など農薬を巡る問題が山積しているとして、今年7月に「農薬環境懇談会」(以下、「懇談会」)を設置し、農薬環境行政の中期的展望(10年程度)をとりまとめるとしています。
 しかし、審議会ではなく、水環境部が設置した懇談会で、結果がどう生かされるのか不明です。
 懇談会の検討事項は、
(a)農薬環境行政のこれまでの取組に対する評価
(b)農薬環境行政の中期的な基本方針
(c)その他となっています。

 農薬環境行政の評価をしたり、今後の基本方針を検討するということですから、大変重要なことを話し合うことになります。メンバーは13人で、水環境部長が委嘱した学識経験者とのことです。
 座長の須藤氏は、99年に公表された「21世紀における我が国の農薬生態影響評価の方向について―中間報告」をまとめた「農薬生態系影響評価検討会」の座長もつとめていましたが、今回の懇談会との関係ははっきりしません。
 メンバーを一見して、市民団体や消費者団体が入っていないことがわかります。農薬メーカーやJA、残留農薬研究所など業界関係が入っているのに、農薬行政を批判している人が一人もいないのは問題です。このようなメンバーだけで今までの農薬環境行政の評価がなされるのであれば、本質的には従来と何も変わらない報告が出るでしょう。

■非公開を徹底
 懇談会は既に7月と9月に2回開かれています。しかし、会議は非公開で傍聴もできません。資料と議事要旨を公開するとしていますが、1回目の議事要旨はA4一枚で、大部分が出席委員名と配付資料の目次で占められ、議事概要は僅か10行というお粗末さ。それでいて、2回目の会議の議題に「農薬に関する情報開示」が上がっていますから、まさに、笑止です。
 一回目の議事要旨の中の「議事概要」を紹介します。
  「5.議事概要
  (1)農薬環境懇談会の設置について
   事務局より懇談会の設置要領について説明があり,
     座長を須藤委員とすることで了承された。
  (2)これまでの農薬環境行政について
   事務局より、これまでの農薬の開発状況及び農薬
   環境行政の取り組み状況等について説明の後、質
   疑が行われ、次回の懇談会において農薬開発状況
   等について補足説明することとされた。
  (3)検討課題に関するフリーディスカッション
    事務局より、農薬環境行政の展開における課題に
   ついて説明の後、農薬を巡るさまざまな課題につ
   いてフリーディスカッションを行った。」
 正真正銘これだけです。事務局は省庁再編以降、土壌環境課に新しくできた「農薬環境管理室」です。よくまあ、こんな「議事要旨」を平気で出していると思います。

■配付資料のいいかげんさ
 実は、1回目に配布された資料に、登録保留基準の表があったので参考にしようと思ったのですが、どうも書かれていることがおかしいので、問い合わせました。
 担当者の話では、化学工業日報社の出している資料をそのまま写したとのことでした。登録保留基準は環境省土壌環境課が決めており、まさに自分のところの資料です。何 故、民間会社の資料をそのまま写して懇談会資料として配付したりするのでしょうか。また、配布された委員は気がつかなかったのでしょうか。
 2回目の配付資料に同じような表が出ていたので、また、問い合わせたところ、「今度はちゃんと精査しましたので大丈夫です。こっちを使って下さい」と胸をはっていましたが…。
 指摘した反農薬東京グループに一言あってもいいのではないかと思いました。
 いずれにしても、この懇談会は重要な課題の割には問題があります。今後、何らかのアクションをとりたいと思っています。
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作成:2001-11-25