残留農薬・食品汚染にもどる
t12303#東京都衛生研究所の1999年度農作物残留農薬調査報告から#01-12

 例年に比べて、遅くなりましたが、東京都衛生研究所が、同所年報51号で報告している、99年4月から2000年3月にかけて、東京都内で入手した農作物の残留農薬調査結果を紹介しておきます。
  残留分析の対象となった作物は
     国産慣行栽培作物:    18種  64検体
     無・減農薬栽培表示作物:  7種  17検体
     輸入農産物:       72種 238検体
  農薬の種類は
                国産作物 輸入作物
     有機リン系農薬:   42種   41種
     有機塩素系農薬:   26種   22種
     カーバメート系農薬: 24種   24種
     その他:       22種   24種
  となっています。
表1には国産の、表2には外国産の農作物について、何らかの農薬が検出されものの検出値を示しました。

 表1 国産農作物の残留農薬調査結果−省略
 表2 輸入作物の残留農薬調査結果−省略

★国産野菜・果実
 分析対象となっている農作物は、慣行栽培野菜では、キュウリ・ナス・ピーマン・トマト・オクラ・カボチャ・サヤエンドウ・サヤインゲン、果実では、ブドウ・日本ナシ・メロン・モモ・ネクタリン・イチゴでした。一方、無・減農薬栽培の対象作物は慣行と同種の野菜7種類(サヤエンドウはなし)でした。

 農薬の検出率は慣行栽培で、有機リン系11%、カーバメート系17%、有機塩素系44%、無・減農薬栽培では、全農薬で29%でした。
 表1をみると、イプロジオン、環境ホルモンの疑いのあるメソミル、プロシミドンなどが目につきます。無・減農薬栽培でも、キュウリ・トマト・ナス・ピーマンにメソミルやプロシミドンが検出されています。

 果実については、イプロジオンが多く検出され、最も高かったのはメロンで550ppbでしたが、果肉ではNDとなっています。ネクタリンやモモのような果皮の薄い果実では、果実(全体)よりも低いものの果肉中にも農薬が残留していることがわかります(表中の果実(全体)の項のみに数値記載のあるものは、果肉ではすべてND)、メロンのディルドリンは、果肉の方が果実(全体)もよりも高い濃度で検出されていますが、これは土壌汚染による根からの吸収のせいでしょう。環境ホルモンの疑いのあるメソミルやNACなどが果肉に残留しているのも気になります。

 複数の農薬が残留していたのは果実(全体)で41%、果実(果肉)9%でした。特に日本ナシでは、検体の50%に2〜4種の農薬が、モモでは、ダイアジノン/MEP/イプロジオン/TPN/BPMCと5種の農薬が残留していたのもありました。メロン、ネクタリンでも4種の農薬の残留していたのが1検体ありました。

★輸入農作物
 対象となった農作物のうち24種に27種の農薬が見出だされました。

 野菜27種中では、アメリカ産ジャガイモに、国内では適用が認められない発芽防止剤CIPC(クロルプロファム)が最高450ppb、ニュージランド産ピーマンにパラチオンメチルが最高40ppb検出されました。

 柑橘類では、例年通り、OPP、TBZ、イマザリルの3種のポストハーベスト農薬が高い検出率で見つかっています。最高残留値を示したのは、TBZではアメリカ産グレープフルーツ(全)6300、イマザリルではアメリカ産レモン(全)1900、OPPではオーストラリア産マンダリンオレンジ(全)1500各ppbでした。2,4−Dは、オーストラリア産オレンジ(全)に310、スペイン産オレンジ(全)に190ppb残留しており、前者では果肉にも見出だされました。DMTPはイスラエル産スイーティー(全)に150ppb検出されたほか、エチオンやクロルピリホスが残留していたものもありました。

 柑橘類を除く18種の果実に、14種の農薬が検出されました。バナナでは、フィリピン産のものにクロルピリホスが390ppb検出されたほか、TBZやイマザリル、イプロジオンなども見出だされ、一部果肉に移行していました。
 マンゴやライチには、日本では、使用できないメチルパラチオンほかの有機リン剤の残留がみられました。アメリカ産サクランボにNACが最高160ppb、イプロジオンが最高420ppb検出され、ニュージーランド産イチゴにはキャプタンが1600ppbとイプロジオン110ppbが複合残留していました。

 8種の豆・種実類では、いずれもNDでしたが、インド産の紅茶には100%の検出率でエンドスルファン(ベンゾエピン)が検出されたほか、DDTやジコホールが同時に残留しているのは気になります。
 10種の穀類のうち、コムギミールと麦芽には、ポストハーベスト農薬とみられる、クロルピリホスメチルやマラチオン、MEP、ピリミホスメチルの有機リン剤の残留が認められ、特に、カナダ産麦芽で、MEPが820ppbと高い値で検出されました。

購読希望の方は、〒番号/住所/氏名/電話番号/○月発行○号からと購読希望とかいて、 注文メールをください。
年間購読会費3000円は、最初のてんとう虫情報に同封された振替用紙でお支払いください。
作成:2002-01-25