室内汚染・シロアリ防除剤にもどる
t12401#薬事法で殺虫剤を再審査すべきだ#02-01
−前略−
★医薬品なら安全か
ところで、室内に散布する薬剤は薬事法で承認されている医薬品か医薬部外品の殺虫剤を使用するようにということですが、では、これらの殺虫剤の安全性は確保されているのでしょうか。ゴキブリ駆除に医薬品の殺虫剤を使用して健康被害を受けた例は多く、中には裁判になっているものもあります。安全性が確保されているとは思えません。
そこで、医薬品殺虫剤の安全性に関する資料提出を求めて厚労省医薬局審査管理課などと話し合いを持ちました(安全性データについては、記事t12302号参照)。承認を求める業者の提出したデータを厚労省が審査して、安全性を判断して承認しているとのことでした。
そこで、静内町の特養で使用された医薬品の殺虫剤、ゴキブリ用スミチオンMCとスミスリン乳剤の承認時の添付資料と、厚労省の判断、すなわち、散布後、これらの薬剤の残留濃度がどのくらいなら安全としているのか、その判断を明らかにするよう求めました。
★申請時の詳しい資料は廃棄した
驚いたことに、厚労省は上記薬剤の添付資料概要しか出してきませんでした。それもスミ塗りだらけの暗号文のようなものでした。昨年暮れ、私たちはこの件で静内町事件に関して質問主意書を提出した民主党の金田誠一議員の事務所で厚労省と話し合いました。
何故、添付資料の概要しか出さないのかという質問に対して厚労省医薬局審査管理課の担当者は「ゴキブリ用スミチオンMCは1987年、スミスリン乳剤は1975年に承認されており、添付資料は3年しか保存してないので既に廃棄されている」と答え、詳しい状況は一切わからないと突っぱねました。動物実験の動物数さえわからないというのです。厚労省が安全の根拠としている吸入毒性試験の詳しい状況もわかりません。スミスリン乳剤については室内濃度のデータすらありませんでした。
医薬品の殺虫剤は承認されれば当時の毒性データがなくても、問題ないということです。新たに毒性が判明しても、一度承認されれば半永久的に使用できるわけです。「毒性の見直しをするつもりはないのか」という質問に「問題があれば再評価するシステムはある」との回答でしたが、実際に殺虫剤に関して再評価した例はありません。
★殺虫剤の再審査を
医薬品の再審査に関しては1975年の「薬事法の一部を改正する法律の施行について」(薬発第四八三号)で定められていて、新医薬品の場合は原則として6年後に再審査を行うとされていますが、殺虫剤に関しては「該当しないもの」となっています。その根拠は明らかではありませんが、以下のような文書になっています。
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(3) 次の医薬品は、再審査制度の趣旨、目的に照らし、再審査の対象となる新
医薬品等には該当しないものであること。
ア 人体に直接使用しない、いわゆる体外診断薬、殺虫剤等の医薬品
イ 総合消化酵素、作用が緩和なパップ剤等のうち医薬品として総合
的に評価して新規性がないと判断される医療用配合剤
ウ 専ら疾病の診断に使用されることが目的とされている医薬品であ
って、人又は動物の皮膚にはり付けられるもの
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室内で使用される殺虫剤は直接皮膚に張り付けたり、飲んだりするものではありませんが、室内空気を汚染し、それを吸入することによって健康被害が起こっています。体内に取り入れる農薬としては吸入が一番量的にも多い上に、消化器官での解毒がなく直接肺から血液に運ばれるため、より危険性が高まります。
25年以上も前の通知で、医薬品殺虫剤の再審査をしないということは許されません。早急にすべての医薬品殺虫剤、医薬部外品殺虫剤の再評価をすべきです。
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作成:2002-01-25