空中散布・松枯れにもどる
t12605#樹幹注入剤への質問に対して林野庁、無責任回答#02-03
本誌124号で報告していますが、反農薬東京グループは松枯れ対策として行われている樹幹注入剤に関して、林野庁に質問状をだしました。2月15日付けで林野庁から回答がきましたが、安全性の確認に関して責任を持たず、農薬登録されているから安全だとしています。
林野庁が推進している技術と薬剤に関して、自分の所管でないからわからないが安全だとする回答は無責任以外の何ものでもありません。
以下、質問と要望、回答、コメントを掲載します。
★【質問1】県別使用量 −省略−
★【質問2】使用中あるいは使用後の周辺の大気中農薬濃度の調査について
【回答】樹幹注入された薬剤については樹体内を移動するが、大気中に拡散することは
ないと一般的には考えられる。−中略−林野庁においては、大気中濃度の調査は実施していない。
【コメント】大気中にでるのではないかと疑問がだされた以上、きちんと分析すべきである。登録の過程で安全性が確認されているというのであれば、そのデータを提出すべきである。
★【質問3】宮城県小牛田町で使用されている樹幹注入剤が次々と変えられている理由は何ですか。
【回答】対象木への負担の軽減や樹幹注入の事業コストの縮減の観点から、近年は残効期間の長い薬剤の中から選定していると聞いている。
【コメント】 96、97年に使用されたネマノーン(有効成分メスルフェンホス)は、有機りん系殺虫剤で、酸素がとれて同系のフェンチオンになる。フェンチオンは鳥への毒性が強い。また、この薬剤は臭いがきついため、周辺から苦情が出たのではないか。
★【質問4】ネマノーン注入剤、メガトップ液剤、ショットワンツー液剤の各薬剤の毒性データをお知らせてほしい。
【回答】「農薬ハンドブック」(社)日本植物防疫協会発行)に記載されているので、該当部分を添付。
【コメント】 送られてきた資料も薬剤メーカーの宣伝パンフレットとたいした変わりはない。登録時の提出データが出せないのなら、せめてMSDSを出すようにと言っているのに、どちらも提出されていない。
★【質問5】ネマノーン液剤の代謝物にフェンチオンがあるとのことですが、どのくらいの割合でフェンチオンができるのか詳しいデータを。
【回答】農薬については、農林水産省生産局資材課農薬対策室において所管している。 【コメント】無責任である。自分たちが使用を推奨している薬剤について、自分の所管ではないから詳しいことはわからないとは言えない。わからなければ農薬対策室に問い合わせて回答すべきである。
★【質問6】ネマノーン液剤を注入した後、松の実にフェンチオンが残留している可能性があるが、調査しているか。また樹幹注入をした松林の周辺の松の実を食べる野鳥の調査をしたか。
【回答】調査は実施しておりません。
【コメント】 さらに、無責任である。
★【質問7】樹幹注入剤の効果を判定した元のデータを知りたい。
【回答】製造業者の了解が得られれば別途送付することとしたい。
★【要望1】小牛田町での樹幹注入を安全性が確認されるまで中止してほしい。
【回答】小牛田町で実施している樹幹注入の事業は、宮城県の単独補助事業であることから、事業実施の判断は事業実施主体に委ねられている。
★【要望2】小牛田町で樹幹注入をした松林周辺の大気中の農薬濃度(ネマトーン、メガトップの有効成分、代謝物、補助成分を含む)及び松の幹、枝、葉、実などの残留調査を実施されたい。
★【要望3】樹幹注入、伐倒駆除など松枯れ対策で使用される農薬の安全性の確認をきちんと行い、周辺への危険性がないことを確認し、公表した上で使用されたい。
【回答】樹幹注入等における安全性は十分確保されているものと考えている。
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作成:2002-09-25