空中散布・松枯れにもどる
t12704#農水省、空中散布の根拠通達をこっそり改定−農林水産航空協会は解散すべきだ#02-04
★批判者に隠して改定とは
農薬の空中散布事業は法律で定められたものではなく、1962年に出された農林事務次官依命通達「農林水産航空事業促進要綱」(以下、要綱)と、65年の農林事務次官通達「農林水産航空事業実施要領」(以下、要領)に基づいて行われてきました。
反農薬東京グループ、日本有機農業研究会、食農ネットの3団体は、この要綱が40年も前のものであり、居丈高に農薬空散を推進するものだと批判してきました。特に、要綱は農林水産航空協会(以下、協会)を航空会社、農業団体、農薬メーカーなどをメンバーに設立させ、ここが空中散布の推進母体であることを規定しています。協会は空散に関して全国的な調整を行うところと明記され、実際に40年に渡って調整作業を行ってきました。
上記3団体は2000年12月7日に、総務庁長官、規制改革委員会、環境庁長官、大蔵大臣、公正取引委員会、会計検査院宛に「農林水産省の農薬空中散布事業の廃止を求めます」という要望書を出しました。
その中で「農林水産航空協会という空中散布を実施する航空会社等を会員とする事業者団体に対して、全国の農薬の空中散布の時期、散布数量及び散布地域等を調整することを委ねており、また、実施要領は、同協会が散布の標準料金を設定することまで定めています。上記の促進要項や指導要領は、何ら法的根拠のない行政指導であるのみならず、そのような行政指導によって事業者団体に散布時期、標準料金等に関して競争制限行為を行わせようとすることは、独占禁止法上問題があります」と指摘し、早急な廃止を求めました。
この要望に関して、どこがどのように動いたのか不明ですが、農水省は突然、2001年10月25日付けで「農林水産航空事業の実施について」という農林水産事務次官依命通知を出し、調整などの項目を削除していました。しかも、その事実を昨年10月以降も、何度もその件で交渉を重ねてきた上記3団体には隠していたのです。ようやく、2002年の3月18日の交渉の席で、「要綱はどうなっているのか」という質問にしぶしぶ「変えました」と回答しました。空散の根拠通知の改定という必ず明らかになる事実を、そもそもそれを指摘した団体に隠してきた農水省の姑息なやり方にはあきれてものが言えません。
★調整関係は全文削除
新しい通知は、要綱と要領をひとつにまとめたもので以下のように変わっています。
<要綱の変更点>
「第一 方針」→大幅書き換え(「農林水産航空事業の健全な発展を図りもって農林水産業の近代化を促進するものとする」などの大時代的な表現をなくした)
「第二 農林水産航空技術の合理化」→削除。(合理化試験など協会に行わせる事業に関して書かれていた)
「第三 航空機利用の調整」→全文削除(独占禁止法上問題があると指摘されていた)
「第四 技術等の研修及び乗員の養成」→削除(協会の事業として定め、農林水産大臣に報告するようになっていた)
「第五 協会の航空機保有」→削除(大臣が協会に航空機を保有させる規定)
「第六 農林水産航空事業研究会」→削除(航空事業の学識経験者で研究会を開くとなっていた)
「第七 推進体制の整備」→書き換え(責任をあいまいにして新通知に入れた)
「第八 国の助成」→書き換え(若干変えたが補助金を出すことは変わらない)
<要領の変更点>
1、趣旨→削除
2、実施体制→変更
3,事業計画の立案指導及び提出→訂正と削除
4,事業計画の調整→削除
5,現地調査及び契約等→削除(ここに「適正な料金になるよう協議する」などが書かれていた。
6,事業実施及び指導
(1)空中散布等の実施→都道府県知事の責任を削除し、新通知に改定)
(2)危害防止対策→全文新通知に入れている。
7,散布効果等の調査→全文新通知に入れている。
別紙の「農林水産業における空中散布の実施基準」は概ね、新通知に入っている。
★新通知の問題点、国・県の責任が不明 −省略−
「農林水産航空事業の実施について」通知全文
購読希望の方は、〒番号/住所/氏名/電話番号/○月発行○号からと購読希望とかいて、
注文メールをください。
年間購読会費3000円は、最初のてんとう虫情報に同封された振替用紙でお支払いください。
作成:2002-10-25