農薬の毒性・健康被害にもどる
t13906c#茨城県神栖町で、井戸水の砒素汚染−旧日本軍の化学兵器が原因か#03-04
 茨城県は3月20日、神栖町の賃貸住宅敷地内にある飲用井戸水から、4.5mg/Lの濃度の砒素(水質基準:0.01mg/L)が検出されたと発表しました。この井戸水を飲んでいた住宅の18人が、めまいや手足のしびれなどの体の不調を訴えており、毛髪検査で、日本人の標準値の2ppmを超える砒素が住民6人から検出されたとのことです。
 その後、問題の井戸周辺500m以内にある243の井戸の水質検査が実施され、132本から砒素が検出され、うち16本は基準を超えており、砒素汚染が広範囲にわたっていることがわかりました。
 4月14日に、汚染源を調査していた県は、検出された砒素が毒ガス兵器の成分ジフェニルシアノアルシンやジフェニルクロルアルシンに由来する有機砒素化合物であること明かにしました。これらの化合物は、旧日本軍が製造した嘔吐・クシャミ性のある別称「赤剤」の成分で、同剤が製造された広島県大久野島では、99年3月、「赤剤」9本が見つかり、00年12月から1月にかけて北九州市の廃棄物処理業者により無害化処理されたことがあります。神栖町周辺には、特攻隊である神雷部隊が所属した神之池海軍航空隊基地や中央航空研究所があり、化学兵器が廃棄埋設されていた可能性が高いとして、県は、国に対応策を求めています。

 昨年9月には、神奈川県寒川町の旧相模海軍工廠跡地で、埋設されていた毒ガス兵器イペリットによる被災事故がおこり(てんとう虫情報135号参照)、4月3日は、同平塚工場跡地でも、工事中に不審なビンがみつかり、頭痛を訴えた作業員3人が検査入院するという事件がおこっています。
 このような事件の多発で、環境省は、旧日本軍の化学兵器について全国的な調査実 施に踏切ました。
 国内だけでなく、中国でも旧日本軍の遺棄化学兵器の処理が問題となっており、「赤剤」については、南京市郊外に約2万3000発があり、わが国の責任で無害化処理することになっています。
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作成:2003-07-25