行政・業界の動きにもどる
t14202#またしても、怪しげな非農耕地用除草剤#03-07

 事件事故で紹介したように、3月からのH14改正農薬取締法の施行で、県レベルで作成する防除基準に、多くの誤記がみつかり、問題になっていますが、非農耕地用除草剤の販売・使用についても、昨年と変わらぬ問題が生じています。

★非農耕地用除草剤の定義
 2月28日、農水省は「非農耕地用除草剤を農作物等の栽培・管理のために使用することは、農薬取締法改正法第11条違反となる」として、非農耕地専用と称する除草剤の販売等についてという文書で、農協や量販店等にこれらの使用・販売についての指導を行ないました。
 ここでいう「農作物等」は「栽培の目的や肥培管理の程度の如何を問わず、人が栽培している植物を総称するものである。その植物の全部又は一部を収穫して利用する目的で栽培している稲、麦、かんしょ、ばれいしょ、豆類、果樹やそ菜類はもちろん、観賞用の目的で栽培している庭園樹、盆栽、花卉、街路樹やゴルフ場の芝のほか、山林樹木も含まれる」と定義しています。
 すなはち、非農耕地用除草剤の使用は、農耕地か非農耕地かの問題でなく、農作物等 の栽培・管理に、使用するか否かの問題であることが明確になっています。
 田んぼの畔や休耕田を除草する目的がカメムシ等の発生防止のためならば、稲の栽培に使うことになり、非農耕地用除草剤は使えませんし、駐車場の車を置く部分は、非農耕地用除草剤でよいが、花卉等植え込みの部分は農作物にあたりますので、登録された農薬を使う必要があるということです。
 私たちは、こんなことはおかしいので、非農耕地用除草剤も農薬取締法で取り締まるべきだと主張してきました。農薬取締法は農薬の農作物等への残留だけでなく、散布による環境への影響防止をも視野にいれて規制をしており、農薬と同じ成分を含む非農耕地用除草剤も法規制するのは当然だと考えるからです。このことは重要なことで、非農耕地で使用した薬剤が飛散流入して、農作物に害を与えても農薬取締法違反では、取り締まれないということにもなります。
 しかし、法解釈上、農作物等の栽培管理に使用しない除草剤を農薬とはいえないとして、改正農薬取締法の条文には入れられませんでした。そのため、非農耕地用除草剤を規制する法律が実質的にない状況がつづくことになっています。

★農薬メーカーが得するH15改正法
 H14改正法でも、物足りなく思ったのか、昨年来の無登録農薬事件で、表立った発言をしなかった農薬業界は、陰で、ロビー活動をしていたのでしょう、通常国会に政府提案された「食品の安全性の確保のための農林水産省関係法律の整備に関する法律案」の中の農薬取締法に関連する改正条文に、農水省の当初案になかった以下のような条項を自民党が議員修正案という形で盛り込ませました。
  第十条の三 除草剤(農薬以外の薬剤であつて、除草に用いられる薬剤その他
  除草に用いられるおそれがある薬剤として政令で定めるものをいう。以下同じ)
  を販売する者(以下「除草剤販売者」という)は、除草剤を販売するときは、
  農林水産省令で定めるところにより、その容器又は包装に、当該除草剤を農薬
  として使用することができない旨の表示をしなければならない。ただし、当該
  除草剤の容器又は包装にこの項の規定による表示がある場合は、この限りでない。
  2 除草剤販売者(除草剤の小売を業とする者に限る)は、農林水産省令で定め
  るところにより、その販売所ごとに、公衆の見やすい場所に、除草剤を農薬とし
  て使用することができない旨の表示をしなければならない。
 上記の表示がなされない場合は、農水大臣が勧告し、応じられなければ、罰則の対象となります。農薬でない除草剤すなはち、農作物等の栽培・管理に用いない除草剤に「農薬として使用できない旨」の表示をわざわざ義務づけるという屋上屋を架するようなこの条文の施行は2004年6月10日からとなっています。
 容器や包装への表示は 「農作物へ使用してはならない」と書く必要はなく、「農薬として使用できない」と表示すれば、いくら販売してもよいということです。
 農薬でない除草剤は、化審法以外取締まる法もなく、「環境にやさしい人畜無害な除草剤〜農薬には使えません」と表示して販売しても、農薬取締法で虚偽の宣伝として、処罰することもできません。

 農家が、登録農薬と同じ成分の非農耕地用除草剤を使うのは、価格が5分の一くらい安いからです。農薬工業会は「無登録農薬に安全性の裏付けはありません」として、「無登録農薬を売らない、買わない、使わない」とのキャンペーン運動をしていましたが(記事t10603参照)、これは、建て前で、高価格を維持しようというのが本音だと思わざるを得ません。薬九層倍といいますが、農薬は何層倍?

★第二の「カラス」、「葉から入って草かりくん」「クサトローゼ」
 昨年夏、トーヤク株式会社が、ニューファム社輸入の農薬登録番号19689 農薬の名称「フリーパス」(グリホサートイソプロピルアミン塩液剤:活性成分41%)を「カラス」という別称で、通信販売(500ml:2480円)していることがわかり、わたしたちは、別称が大きく印刷され、登録名称が小文字で記載されているのは、問題であるとして、販売会社や農薬検査所、農薬対策室にも問い合わせ、善処をもとめました(記事t13206)。
 ところが、本年も、トーヤクが、登録番号19689の除草剤を、新たな名称「葉から入って草かりくん」(500ml:1380円)という商品名で「フリーパス」を九州一円の生協を通じて販売していることがわかりました。
 ラベルには、農薬登録時の名称である「フリーパス」が小さく記載され、商品名の「葉から入って草かりくん」が大書されています。これが登録名ではないかと誤解を与える代物です。
 また、神奈川県内で、「クサトローゼ」という名称で、ニューファム社輸入の除草剤が販売されています。この商品のラベルにも小さく「フリーバス」と書かれ、ニューファム社の登録番号と同じ19689が記載されています。「クサトローゼ」は液剤でグリホサートイソプロピルアミン塩41%を含み、500ml入り398円で販売されています。
  −中略−

 6月25日、農水省は生産局長名で農薬を販売する際の表示要領の制定についてという通知をだし、9項目の農薬の容器・包装の表示要領を挙げています。その中の第6項に『法第7条第3号の農薬の名称は、登録を受けた商品名以外の表示をしてはならないこととし、有効成分とその他の成分に係る各成分の種類及び含有量は、両者の区分が明確にできるよう表示することとする。』となっていますから、「葉から入って草かりくん」も「クサトローゼ」もこの通知に反することは、明確で、私たちは、農薬対策室に調査の上、指導するよう求めています。

★宣伝文句も規制すべき
 ところで、「葉から入って草かりくん」のラベルには、「簡単」「便利」「安心」「環境に優しいアミノ酸」「土に落ちると薬効を失い、微生物により無害な物質に分解されます」などと書かれています。
 このような表現は、農薬取締法第十条の二(虚偽の宣伝等の禁止)でいう農薬の効果に関する虚偽の宣伝にはあたらないでしょうか。
 1996年には、アメリカニューヨーク州司法長官がグリホサート製品の宣伝が不適切だとの判断を示し、メーカーのモンサントが「生分解性」「環境にやさしい」という表現を削除し、訴訟費用を5万ドルを支払いました。
 日本では、01年3月に、公正取引委員会が公表した環境保全に配慮した商品の広告表示に関する実態調査報告書の中で、『「環境にやさしい」等のあいまい又は抽象的な表示を行う場合には、環境保全の根拠となる事項について説明を併記するべきである。』としています。「葉から入って草かりくん」にあるような表現は、消費者に誤った概念を植えつけること間違いありません。
 大手除草剤メーカーも『アミノ酸系の除草剤。成分は非常に低毒性の普通物で、人や動物もちろん、土や自然環境にやさしいため、安心してお使いいただけます。』と宣伝をしていいますから、同じ穴のむじなです。だいいち、「普通物」という語句は、科学用語でも、法律用語でもなく、何の毒性もないと誤解を与える文言にすぎません。
 公正取引委員会の報告では、農薬類の広告については触れていませんが、今後、農薬についての宣伝表示について、しっかりした見解を引き出し、いいかげんな用語表現の規制につなげたいものです。

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作成:2003-07-26