農薬の毒性・健康被害にもどる
t14204#家庭用品による吸入事故−01年度は園芸用殺虫・殺菌剤増加#03-11
 厚生労働省の「家庭用品に係る健康被害病院モニター報告」の01年度のものが2月に公表されました(98年度の報告は記事t10206)。
 2001年度に報告された事例の件数は、皮膚科182件(前年度225件)、小児科886件(同789件)、吸入事故等615件(同546件)で合計1,683件(同1,560件)でした。このうち、日本中毒情報センターからの吸入事故等に関する報告から、99〜01年度の原因製品別のワースト10位を表に示します。

   表  年度別・家庭用品等の吸入事故のべ報告件数(上位10品目)−省略
    以下の事例を含め、省略された部分は、報告本文と
    家庭用品等が原因と考えられる吸入事故等に関する報告を参考にしてください。
★ワースト1は殺虫剤
  01年度について見てみると総数615件、原因製品別でのワースト1は相変わらず殺虫剤で、133件全体の21.6%を占めており、極端な大量使用やくん煙後、換気が不十分なまま、室内に入った例が多くみられました。以下のような事例−省略−が挙がっています。

 上の例は、家庭用の殺虫剤ですが、これとは別に第6位に園芸用殺虫・殺菌剤によるものが前年の10件から27件に増えました(なお、除草剤や木酢液被害はその他10件の中に集計)。成分別では有機リン系、ピレスロイド系、ジチオカーバメート系による事故が複数認めら れ、次の事例−省略−が挙がっています。

★洗浄剤・漂白剤は塩素系事故が多い
 ワースト2洗浄剤(住宅用・家具用)の123件の20.0%でした。そのうち、次亜塩素酸製品によるものが50件で、酸性物質との混合により発生した塩素ガスを含むと60件になります。以下のような事例−省略−が報告されています。

 ワースト3は、漂白剤の48件の7.8%で、洗浄剤と同様、次亜塩素酸系製品−塩素ガス発生を含むケースが44件でした。次の事例−省略−があります。

★報告のまとめより
 報告件数を年齢別に見ると、9才以下の子供の事例が256件と半数近くを占めており、次いで30代、50代、20代の順でした。また、性別では、女性が331件(53.8%)、男性が229件(37.2%)でした。
 症状別に見ると、症状の訴えがあったもの404件(65.7%)、なかったもの202件(32.8%)、不明のものが9件(1.5%)で、症状の内訳は咳・喘鳴等の「呼吸器症状」156(25.4%)で、次いで、悪心・嘔吐・腹痛等の「消化器症状」155件(25.2%)、頭痛・めまい等の「神経症状」118件(19.2%)、眼の違和感・痛み・充血等の「眼の症状」91件(14.8%)でした。
 報告書では、事故件数が多かった、「スプレー式」(ポンプ式が90件を含め215件)の製品について、『内容物が霧状となって空気中に拡散するため、製品の種類や成分にかかわらず吸入、眼への接触による健康被害が発生しやすい。使用にあたっては換気状況を確認すること、一度に大量を使用しないこと等の注意が必要である』、相変わらず減少しない次亜塩素酸系(塩素系)の洗浄剤・漂白剤と酸との混合による塩素ガス発生事故について、『製造者においては、より安全性の高い製品の開発に努めるとともに、消費者に製品の特性等について表示等による継続的な注意喚起と適正な使用方法の推進をはかる必要がある』と記述されています。
 また、園芸用殺虫・殺菌剤については、『屋外で使用することが多く、使用者以外にも健康被害が発生しているのが特徴である。家庭園芸用であっても十分な注意喚起を図る必要がある』とありますが、農薬取締法による省令で、家庭での使用者についても、農薬の住宅地等への飛散防止策が求められており、このことを十分周知させるべきでしょう。
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作成:2003-12-23