ダイオキシンにもどる
t15104#高松市の公園でダイオキシン汚染 @一般環境(土壌)調査で今までの最高値検出か#04-03
 昨年11月に、ダイオキシン類対策特別措置法に基づいて実施された土壌調査で、高松市にある新開西公園(1961年に開設。約60m四方で街なかにある)の検体に1400pgTEQ/gという高濃度のダイオキシン類が検出されました。これは環境基準の1000pgTEQ/gを超えるもので、土壌の入れ替え処理が必要となるため、市は公園の立入を禁止し、詳細な汚染調査を実施することになりました。

 環境省:ダイオキシン類に係る土壌調査測定マニュアル(H12.1)

★最高汚染値は3200pgTEQ/g
 04年1月9日に実施された3回目の土壌調査で判明した結果を図1に示しました。園内の地点別のダイオキシン類検出値(土壌検体はいずれも地表0-5cmで採取)は、2.3から3200pgTEQ/gの範囲にあり、100pgTEQ/g以上が15検体中8検体ありました。最高値を示したのは、公園南東部の花壇の土壌(地点13)でした。公園に隣接した4地点での検出値は2.1〜28pgTEQ/g、250〜600mの4地点では0.040〜0.47pgTEQ/gで、公園自体がなんらかの原因で特異的に汚染されている状況が明確になりました。

  図1 新開西公園の地点別土壌中のダイオキシン濃度 −省略

★これは単なる環境汚染ではない
公園土壌に検出されたダイオキシン類の検出値をTEQで、他の汚染土壌等と比較してみました。表1に示したように、3200pgTEQ/gという値は、ゴミ焼却場からの飛散や農地での農薬散布による汚染レベルよりも、ずっと高い値であることがわかります。また、小型ゴミ焼却炉の灰の汚染レベルも数百pgTEQ/gですから、公園で何か燃やしたためとも考えられません。
 表1に三井化学大牟田工場(福岡県大牟田市)関連の検体のデータが載せてあります。この工場ではダイオキシンを含む農薬のPCPやCNPの原体が製造され、排水経路の大牟田川の底質は高レベルで汚染されている個所もあり、PCPやCNP自体も検出されています。また、PCPなどの農薬を製剤化していたクニミネ工業左沢工場(山形県大江町)の敷地でも、3500pgTEQ/gの汚染が認められています。
 高松市で、子供たちが立ち入る公園土壌にこれら工場汚染レベルにも匹敵するダイオキシン汚染が検出されているというのは異常です。ダイオキシンができるような工程をもつ化学工場の汚泥とか、産業廃棄物焼却炉や都市焼却炉の飛灰が、持ち込まれでもしなければ、公園で検出されたような高い値にはならないでしょう。
 表1の終りの方に、日本でのダイオキシン発生源として、よく知られている農薬PCPとCNPに含まれるTEQ値を示しておきましたが、農薬成分中には、540万〜1300万pgTEQ/gという濃度でダイオキシン類が含有されています。このような農薬が公園で直接散布された可能性も考えねばならないでしょう。
  高松市は、公園土壌のダイオキシン汚染源について、『@PCPやCNPの農薬に不純物として含まれるOCDDが最も多量に含有され、1,3,6,8-TeCDD、1,3,7,9-TeCDDも検出されている。A焼却系のダイオキシン類プロフィールとは明かに異なる。BコプラナーPCBは極めて微量である。以上から、この原因物質はPCP、CNP農薬の可能性が高いと推定される。』という京都大学武田教授(豊島廃棄物等技術委員会委員)の見解を発表しています。
 汚染源を推定するには、TEQ値では限界があり、ダイオキシン類の同族体・異性体パターンを調べる必要があります。次号で詳しく述べることにします。
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作成:2004-8-23