行政・業界の動きにもどる
t15405#ディプテレックス乳剤ラベルで、立入制限項目を削除〜安全サイドにたつべきと農薬工業会に質問と要望#04-06
 会員からディプテレックス乳剤の「使用上の注意」に関するラベル表示について問い合わせがありました。2002年時のラベルに表記されていた「公園、堤とうなどで使用する場合、関係者以外は作業現場に近づかせない。小児、居住者、通行人、家畜などに留意する。散布後(最小限その当日)も散布区域に綱囲いや立札をたて、立ち入らせない」との表示が、メーカーがホームページで公開している使用上の注意には、記載されていないというのです(三共ディプテレックス乳剤)。
 そこで、ラベルに上記を記載していた三共アグロ(株)にきいてみました。

★製剤メーカー三共アグロの言い分
 担当者は、ラベル内容を変更し、上記の文言は削除されたことを認めました。その理由は、農薬登録時の申請書に書いてなかったからだというのです。
 昨年、農薬ラベルの誤表示という農薬取締法違反が発覚して、おおきな問題になりました(記事t14504記事t14605)。24社112農薬で、延べ158件の表示違反がみつかったのですが、その中で、三共アグロは、ワースト1(21農薬で23個所違反)でした。
 確かに農薬取締法では、表示には真実を記する(=申請書に記載した通り)とあります。適用作物や適用病害虫の範囲、使用方法を変更した場合は、登録変更の届けが必要ですから、これが申請書通りでなければ、違反なのは当然です。また、水質汚濁性農薬に新たに指定されたとか、毒劇法の指定ランクが変更した場合、ラベルにその旨表示せねばなりません。
 しかし、より安全をめざすための注意が、申請書と異なったからといって、法律違反の誤表示に該当するのでしょうか。申請書に書いてなかったら改めて申請書から書き直せばいいのです。そのように伝えたところ、三共アグロの担当者は「原体メーカーのバイエルクロップサイエンス社(以下「バイエル」)が主導権を持ってその方向で検討してる。詳しいことはバイエルに聞いてほしい」と言うのです。
 ディプテレックス乳剤の製造メーカーは10社くらいありますが、ラベルに立入禁止事項を書いていたのは三共アグロだけでした。他のメーカーなどからは「何故、そんなことを書くのか」と責められていたようです。

 【メーカーのHPより】
   ・バイエルクロップサイエンス社:ディプテレックス乳剤
   ・北興化学:ホクコーディプテレックス乳剤MSDS

★原体供給のバイエルの言い分
 では、本当にラベルを書き直すのでしょうか。バイエルに問いあわせました。同社は、三共アグロとそのような話をした覚えはないと突っぱねましたが、「散布中に立ち入らないことと、完全に乾くまでは立ち入らないこと、この二つだけは守ってもらいたいと都道府県等にはお願いしている」とのことでした。
 当然それでは不十分で、東京都の化学物質の子どもガイドラインの頁にある「殺虫剤樹木散布編」パンフレット詳細版)では、散布当日とその翌日は立入らないような措置を取ることを求めています。農薬使用に対してより厳しい規制がかけられている現在、立入制限をわざわざ削除するのは、時代に逆行している。バイエルが原体メーカーならば、率先して、申請資料を書き直し、立入禁止の項目を入れるべきではないかと求めました。
 最終的にバイエルは、農水省が許可するのならば、申請資料やラベルにそうしたことを記載するのにやぶさかではないということでした。
 しかし、事はディプテレックス乳剤に限りません。住宅地周辺など生活環境で使用する農薬について、すべて、散布の事前告知、飛散防止措置、立入制限等の使用上の注意を記載すべきです。

★農薬工業会に質問と要望
 そこで、農薬工業会に、農薬の宣伝・広告問題(今後のてんとう虫情報で、詳述する予定です)を加え、4つの質問・要望を行いました。

1,容器ラベル表示の「使用上の注意」
−前略−
 前述の項目が削除された理由は、登録時の申請書にないからというものでしたが、ディプテレックス乳剤に限らず、住宅地周辺で使用される可能性のある農薬(樹木に登録のあるものなど)は、登録時の申請書に、使用上の注意として、周辺への事前告知、飛散防止措置や、立入制限措置を具体的に書くべきと思います。それがラベルに反映されるわけですから、農薬使用者に遵守されることになり、農薬危害防止に役立つと思います。
 『農薬の安全対策を講じ、人と環境への安全を確保する』との活動目標を掲げておられる貴工業会のご意見をお聞かせください。
 もう、ひとつ、私たちは、容器ラベルに関して、メーカーが異なっていても、同一剤型で同じ組成、同じ用途の製剤については、使用上の注意を統一すべきと考え、農水省にもその旨申し入れていますが、この点について、貴工業会はどうお考えですか。

2,農薬に該当しない除草剤について
 本日6月11日より農薬取締法十条の三が施行され、農薬に該当しない除草剤(いわゆる非農耕地用除草剤)については、農薬として使用することができない旨の表示を義務づけることで、取り締まりが実施されることになりました。
 わたしたちは、農水省に対して、非農耕地用除草剤にも農薬取締法を適用するよう求めてきましたが、同法では対処できない旨の法解釈がなされ、今回の法改定になったことを残念だと思っています。
 ところで、6月4日発令の農薬取締法施行規則の条文では、前記表記義務について、文字の大きさ等の規程があるだけで、具体的にどのような文言で表記するかについては触れていません。
 たとえば「農薬部外品」と表示のある除草剤も出まわっているとのことで、わたしたちは、薬事法の「医薬部外品」と紛らわしいと思い、農水省のその可否を質しているところです。
 貴工業会におかれましては、具体的にどのような表記が望ましいと思われますが、お考えをお聞かせください。

3,農薬の宣伝・広告について−省略−

4、報道にあった貴工業会の誤表示防止の指針が出来ましたら、その内容をHPなどで、公開してください。消費者向けの情報公開に力をいれておられるとのことなので、期待しています。

  【参考サイト】農薬工業会のHP事業目的

  【参考記事】「農薬部外品」いう表示で安易に使用される非農耕地用除草剤


購読希望の方は、〒番号/住所/氏名/電話番号/○月発行○号からと購読希望とかいて、 注文メールをください。
年間購読会費3000円は、最初のてんとう虫情報に同封された振替用紙でお支払いください。

作成:2004-11-25