農薬の毒性・健康被害にもどる
t15501#マツグリーン液剤2について、日本曹達から回答〜大型散布機での広域散布データなし#04-07
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 群馬県下で、松枯れ防止のために地上散布されたマツグリーン液剤2(登録番号第20838号)で住民に健康被害がでているとの緊急情報を前号に掲載しました。この農薬は、日本曹達鰍ェ開発した殺虫剤で、有効成分としてアセタミプリドを2%含有しています。早速、メーカーにその毒性や環境での試験がどのように行われたかを問い合わせました。その結果を以下にまとめます。

★マツグリーンの人体中毒について
 アセタミプリドは農業用にはモスピラン水溶剤として1995年11月28日に登録されていますが、この成分について、日本曹達は、いままでに、製造工場労働者や使用者になんらかの健康被害が認められたとの報告を受けていない、としました。
 アセタミプリドは揮発しにくいため、ラットを用いた吸入実験では、微細粉末として300mg/m3以下で4時間飼育していますが、死亡例はなかったものの、89mg/m3暴露で、散瞳がみられたということです。しかし、実際に散布する製剤には、溶剤と界面活性剤が補助成分として使用されていますが、溶液ミスト存在下での吸入実験データは示されませんでした。
 アセタミプリドは、ネオニコチノイド(新しいニコチン様物質)で タバコに含まれるニコチンに似た構造を有し、偽の神経伝達物質として、ニコチン性アセチルコリン受容体に結合して神経を興奮させ、毒性を発現させます。同系のイミダクロプリド(殺虫剤アドマイヤー、シロアリ防除剤ハチクサンの成分でもある)の人体中毒症状は、経口摂取の場合、軽症では、ふるえ、血圧上昇、嘔気・嘔吐、痙攣などを示すとの所見がありますし、ハチクサンFLによると思われるシックハウス症候群の症例も報告されています。また、ニコチン中毒と類似の下痢、食欲不振、血圧の変動、頻脈・不整脈、不眠等が発症する可能性があります。

★大気汚染のデータは不十分  群馬県では、マツグリーン液剤2は100倍希釈液(アセタミプリド0.02%)として1200L/ha散布されたわけですが、登録に際して、農薬大気汚染はどの程度、考慮されていたのでしょうか。
 日本曹達が示した資料によると、茨城県の松林で地上散布試験が実施されていますが、樹高5〜9mで、一本あたり1.5Lの散布とあるだけで、どのような散布方法で、トータルいくら撒いたかの記載もなく、散布区域内と散布区域外10mの地点で散布直後と8時間後のアセタミプリドの大気中濃度は0.6μg/立方メートル以下であったと報告されています。山形県では、無人ヘリコプターによる散布試験も行われましたが、散布区域内外とも散布直後と12時間後に検出されなかったとしています(ちなみにマツグリーン液剤登録番号第20330号には無人ヘリ用の適用はない)。
 農薬のドリフト状況や気化した場合の環境中(土壌、水、大気)でのアセタミプリドや補助成分の濃度の経時変化に関するデータを示すよう求めたのですが、きちんとしたデータは提出されませんでした。
 また、マツグリーン液剤2を定法通り散布した場合、松葉でのアセタミプリドの検出値は1日後が約25ppm、9週間後が約0.5ppmだったそうです。カミキリ虫が食するのは、梢端部の1、2年枝で、無差別に松葉に撒かれた薬剤は無駄になるだけでなく、環境汚染につながるだけです。
 群馬県では、スパウトスプレーヤーという大型散布車で、3〜35haもの広い範囲で短時間に散布がなされました。散布直後の大気中に農薬ミストが高い濃度で存在する可能性があるのに、大型散布機を使用した場合の環境データもとらず、住宅地の近くで散布したのは、人体実験をしたとしかいいようがありません。

★群馬県での被害について
 今回の群馬県での被害については、記事t15502にある通りですが、日本曹達は、実態把握が十分でなく、コメントは差し控えるとの態度です。ただ、「化学物質過敏症」については、マツグリーンの散布によるものでないとと100%否定することはできないとし、今後の研究成果を見守りながら対応していきたいとしています。
 メーカーの回答は、農薬の使用にあたっては、常に人畜や環境に対する安全性の確保を第一義として考慮し、その製造・販売にあたっては、流通及び販売店を通じ、安全使用について広報するとともに、より安全な農薬の開発を推し進めていく所存であります、と締めくくられています。しかし、マツグリーン液剤2のパンフには「普通物・魚毒性A類で環境に優しい」として、例によって安全性の強調が目立ちます。サクラやプラタナスのアメリカシロヒトリ、ツバキのチャドクガなどにも適用がありますから、今後、身の回りで使用される可能性高い殺虫剤です。環境への影響調査と健康被害、特に過敏症の人への対策が必須です。

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作成:2004-7-23