環境汚染にもどる
t15508b#鹿児島県志布志町で、農業資材倉庫火災 〜農薬3.4トン、農ビ150トン燃える#04-07
 6月11日、鹿児島県志布志町にある農業資材倉庫と隣接する動物病院が全焼するという火災が発生しましたが、倉庫に農薬があったのではないかと気になり、町に問い合わせました。その結果以下のことがわかりました。

★火災の経緯
 火災は早朝5時前に農薬や肥料、農業用ビニルをいれた倉庫で起こりました。当時は、台風が接近しており、風雨のため、黒煙は地上付近に漂いながら現場周辺に拡散しました。有害ガスの発生の恐れがあったため、午前7時、町は周辺2000世帯4500人に自主避難を呼びかけました。10時頃、風向きが代わり、現場から約1.5kmのところにある志布志中学校に、煙が流れ込むようになりました。まず、体育館で、ついで教室で、授業中の生徒がのどや目の痛み、頭痛、めまい、吐き気、胸部の痛みなど異常を訴え、次々、救急車等で病院に搬送されることになりました。火事が完全に鎮火したのは、12時間後の午後4時45分でした。
 この火災で、被害を受けたのは、中学校の生徒61人、周辺住民9人、消防団員7人でした。幸い、被害の症状は比較的軽く、異常を訴えた生徒・住民に、その後、体の変調はなく、火災2週間後の消防団員79人の聞き取り調査でも、健康状態の異常はなっかったそうです。
 また、火災現場周辺の農作物、家畜、水生動物、小動物についての被害報告はなく、河川や海岸にも異常は認められませんでした。

★D−Dや塩ビが燃える〜ダイオキシンの発生は?
 ところで、倉庫にあって、火災で焼却した資材には、以下のものがありました。
     種類  成分等                    数量
    農薬 ネマトリンエース粒剤(ホスチアゼート1.5%):800kg
           D-D92(1,3-ジクロロプロペン92%) :1740L
           トップジンM粒剤(チオファネートメチル2%):900kg
    農ビ ポリ塩化ビニル        :150トン
    肥料 硫安、塩化カリウム、尿素ほか : 26トン
 火災現場は、化学反応のるつぼだったわけです。周辺住民や生徒を襲った有害ガスの中には、D−Dのような農薬、塩ビが燃えて発生する塩化水素などの刺激性ガスが含まれていたと思われます。また、D−Dも塩ビも塩素を含有しますから、焼却によりダイオキシン類が生成したことは間違いありません。私たちは、町や鹿児島県に焼却灰の移動禁止やダイオキシン調査の実施を求めましたが、ダイオキシン分析調査の結果公表には、2ヶ月ほどかかるそうです。
 なお、火災残渣は、倉庫所有者が産業廃棄物業者に委託して、6月19日までに、処理されたとのことです。
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作成:2004-10-25