環境汚染にもどる
t15701#農薬の大気・土壌・水への汚染の規制強化〜環境省、気中濃度調査実施へ#04-09
 農薬の大気汚染については、環境省が1997年に示した空中散布用農薬10種についての気中濃度評価値があるのみで、法的規制は全くなされていません。
 2003年4月の生活環境での農薬使用の規制に関する行政交渉で、農薬大気汚染調査の実施を求めましたが、環境省からの回答は、「今後考える」との域をでませんでした。農水省は同年9月、消費・安全局長通知「住宅地等で使用される農薬について」で、住宅地周辺での農薬使用について、健康被害防止のための努力目標を示しましたが、農薬気中濃度などによる数値規制につながるには程遠いものでした。
 私たちの永年の要望に一筋の光がさしたのは、この8月になってからです。環境省は農薬の大気汚染を規制すべく、漸く重い腰をあげ、来年度予算の概算要求に「農薬飛散リスク評価手法等確立調査」として2700万円を計上しました。  同省は、住宅地と近接した農地から飛散した農薬を第三者が吸入した場合、悪影響を及ぼす恐れがあるとの認識にたち、計画では、農薬散布に伴なう飛散による周辺住民への悪影響を防止するため
  @飛散農薬気中濃度調査手法開発調査(散布した農薬が飛散する範囲や気中濃度
   を高精度で再現性良く把握するための試験法の開発)。
  A飛散農薬モニタリング等調査(開発した手法を用いた農薬使用現場における、
   モニタリング調査等の実施)。
  B検討会の設置(農薬の飛散によるリスク評価・管理手法の開発を行なうため、
   学識経験者による検討会を設置)。
 が挙げられ、05から09年度の期間で実施されることになっています。
 現在の汚染実態もわかっていないところからの出発で、「えっ、これから5年もかけて調査するの」という驚きがまず頭をよぎりました。お役所仕事が遅々としてすすまぬのは常識ですが、5年といわず2年位できちんとした方針を出してもらいたいものです。
 分析方法は、比較的はやく片がつきそうですが、汚染実態調査については、どのような散布状況の場所で測定するかが、おおいに問題となるでしょう。
 有人・無人ヘリコプターや、大型散布機を使用した場合や、地域の一斉散布の場合、どの程度の大気汚染になるかのデータが農薬登録の際に求められていないこと、いままでの「健康に好ましくない影響」には、一過性の頭痛や眼の刺激、下痢などは含まれてこなかったことなどの問題点をぜひ解決してもらいたいものです。今後、設置される検討会には、どんどん物申していきましょう。
 ほんとうに、早く、てんとう虫情報109号に紹介したカナダのハリファックス市の条例(学校・公園・病院等の半径50メートル以内での農薬使用の禁止等を含む)のようなものが、できればいいのですが。

  環境省の2005年度予算概算要求概要より農薬飛散リスク評価手法等確立調査
                   土壌・水については、記事t15702


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作成:2004-9-25