食品汚染・残留農薬にもどる
t16211#厚労省、残留農薬検出率公表の落とし穴#05-02
 046月21日、厚労省医薬食品局は食品安全情報としてホームページに下表のような 「食品中の残留農薬検査結果」を公表しました。それによると農産物は平成13年度、検査数53万1千件のうち検出数は2千600件で0.5%の率。このうち残留基準を超えた件数は29件0.01%であるとして、「全検査中で農薬を検出した割合は低く、農薬残留レベルは極めて低い。」と結んでいます。

   表   平成13年度農産物中の残留農薬検査結果 −省略−

★厚労省は検出率をごまかしている
 前号で紹介した農薬学会レギュラトリーサイエンス発表会の講演で、東京都健康安全研究センターの永山敏廣氏が地方衛生研究所5機関の残留農薬検査の集計について「平成13、14年度と一部15年度で延べ28万5千件を検査した。ひとつの検体で140種類ぐらいの農薬を検査して、ひとつでも農薬が出たらそれを農薬が出た農産物というふうに見ると、検出率は38.9%*という結果がまとめられている」と話された。
 この検出率38.9%を厚労省は「極めて低いレベル」とはいえないだろう。算出方法をかえて、0.5%とすることで、厚労省は消費者不安の火消し役に一役買っているわけである!

*注:検出された農薬の種類は115農薬。検出頻度の高かった食品は、輸入柑橘類、リンゴ、梨、ほうれん草、ピーマン、キャベツ、キュウリなど)

【厚生労働省の検出率の算出例】
リンゴ5検体について100種類の農薬を分析し、1検体から1農薬が検出された場合、通常、農薬の検出率は、全検体数をベースにし、1/5=20%となります。しかし、厚生労働省の統計では全分析農薬数をベースにし、1/(5×100)=0.2%としているのです。
 これでは、分析する農薬の種類を増やすほど、検出率は小さくなります。でも、待ってください。そもそも、リンゴに100種の農薬を使うわけがない、本来ならば使った農薬だけを分析すればいいのに、ありもしない農薬を分析して、その数をベースに検出率を算出することは何の意味もないのです。こんな数字を公表するのは国民への愚弄としか思えない。


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作成:2005-05-25