行政・業界の動き
t16309#農産物の表示違反調査〜農薬不使用表示違反は5.2%#05-03
 農水省は、昨年夏から秋にかけて、『「農薬」等農薬・化学肥料に係る農産物の表示特別調査』を実施しましたが、このほど、その結果を公表しました。
 表示状況調査は、全国各地の小売店舗2,998(別に流通業者807と生産者921を遡及調査)で480,362点の農産物を対象とし、「名称」「原産地」「農薬不使用」等の表示のある農産物21,806点(4.5%)について確認調査が実施されました。
その結果、小売店延べ169店舗で、延べ1573点で表示義務のある「名称」「原産地」の欠落が判りました。また、表示内容が事実と異なる不適正表示は、114の小売店、23の流通業者及び15の生産農家等の計152業者等において、認められたとのことです。

★10商品で残留農薬検出
 上記152業者のうち、「農薬不使用」等の表示で不適正なものが、小売店9店舗、流通業者13業者及び生産者15農家等の計37業者ありました。
 さらに、農薬を使用せずに栽培したとの表示のある農産物286検体については、残留農薬分析が行われ、検出された場合はその原因が調査されました。その結果、野菜と果実の15検体に農薬が検出されました(実商品数では10。表参照)。農薬汚染原因は、農薬を使用して栽培していたにも拘らず、使用していないと偽っていたものが半数の5件、周辺からの農薬飛散が3件、散布機の整備不良と入庫前の倉庫くん蒸が各1件でした。
 表 作物種類別の残留農薬検出数 

        野菜     果実    米穀    合計
検体数 243(10)  21(19)  22(0)  286(29)
検出数  12(4)    3(3)    0(0)   15(7)
検出率  4.9%    14.3%    0       5.2%
   ():輸入品  実商品数合計は10
★違反業者の氏名はすべて公表すべき
 違反が判明した小売2店舗、流通3業者、生産者7農家の合計12業者に対して、農水省は、適正な表示をするよう文書又は口頭指導をおこなっています。このうち、輸入販売会社ドールと石川県の販売業者セイツーは名前を公表されています。前者は、フィリピンでのバナナ栽培で、有機JAS規格で適用可能な農薬を使用していながら、“化学合成農薬を一切使用せず”と表示したものを販売していました。また、後者は、化学合成農薬を使用した熊本産オクラと石川産ニンジンを栽培期間中農薬不使用と表示して販売していました。
 今回の調査で、市場には、表示に偽りのある商品が流通しているという実態が明らかになったわけですが、不適正表示をした全157業者中、氏名を公表されたのは、上記2社を含め、8業者にすぎません。偽り表示の農産物を購入した消費者が、前号で紹介したエトキシキン訴訟の判決が示すように、すでに消費した食品であっても、表示内容と異なる商品を販売したことによる債務不履行責任を問うことにより、業者に代金返還を求めることができるわけですが、それには、違反業者名をすべて公表してもらう必要があります。

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作成:2005-06-24