食品汚染・残留農薬にもどる
t17205#残留基準ポジティブリスト制度実施へ〜11月29日に基準等告示#03-12
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         残留農薬ポジティブリスト制度の厚労省資料

    電子版「脱農薬てんとう資料集」No.3
      <残留農薬ポジティブリスト制度について>

   【参考資料】
          厚労省資料:食品中の残留する農薬等の基準に係るポジティブリスト制度について
          日本食品化学研究振興財団のHPにあるポジティブリスト制度基準値一覧暫定基準データベース
     一律基準 健康を損なうおそれのない物質
     農薬等の残留基準
 06年5月29日より、農薬等の残留基準ポジティブリスト制度が実施されることになりましたが、基準等が、11月29日付け官報で厚労省平成17年告示第497号、498号、499号として公布されました。これと前後して、第121回及び122回の食品安全委員会で、厚労省は、4月28日同委員会のポジティブリスト制度に関する6つの意見に対する回答を示していますので、合わせて紹介しておきます。

★一律基準は0.01ppm、健康を損なうおそれのない物質は65種
 第497号では、健康を損なうおそれのない量(いわゆる一律基準)として、0.01ppmが、第498号では、健康を損なうおそれのないことが明らかである物質として、亜鉛ら65物質(うち農薬関係25)が告示されました(11/29厚労省報道資料)。
 食品安全委員会は、物質ごとにその根拠を明確化することを求めましたが、厚労省は、今後、これらのすべての物質を対象として、国際機関や国内外の政府のリスク評価結果及びその安全性に関する資料を収集する、としています。

★農薬等758種に基準設定したが・・・
 第499号は、不検出物質15種、暫定残留基準758種、加工食品基準75種などが告示され、現行基準のあるものを合わせ、農薬等799種について基準が設定されることになりました。
 ADI(一日摂取許容量)を設定する立場にある食品安全委員会は、リスク評価計画を策定することを、厚労省に求めていました。
 同省は、まず、優先評価物質として、@国際リスク評価機関でADIが設定できないと評価されたもの(アレスリンら5物質)、Aマーケットバスケット調査の結果、我が国の食生活を通じた1日あたりの摂取量が比較的多いと推定されるもの、B発癌性等新たな重要な毒性知見のえられたもの、C上記に準ずるもの、を挙げ、毒性試験成績などの資料をもって、リスク評価を依頼する、としました。
 また、優先物質以外の物質については、可能な範囲で毒性試験成績などのリスク評価に必要な資料を収集し、委員会にリスク評価を依頼する、と回答しました。
 具体的には、暫定基準設定の758農薬等(うち農薬558種)について、06年から5年間を目途に各年約150種のリスク評価の依頼を行う予定だそうです。委員会は、毎週1回開催されますから、少なくとも1週間に3種の物質のリスク評価をせねばならないことになり、とても、まともな審議はできないのではないかと心配です。
 さらに、厚労省は、告示の段階で、529種についての分析法が整備されたが、暫定基準設定の全ての農薬等について、法施行までに策定するのは困難な見込みで、引き続き策定に努める、としています。あと250種の分析法は残り半年の間ににいくつ開発されるのでしょう。拙速なポジティブリスト制度の実施が、食の安全・安心に混乱を招かなければいいのですが。


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作成:2006-03-26