農薬の毒性・人体被害にもどる
t17705#農薬危害防止運動を前に、野鳥・犬の被害、農薬不法投棄・盗難つぎつぎと#06-05

  【関連記事】記事t17601記事t17804
  【参考資料】農水省の通知(5/26)

 先月、農水省へ農薬危害防止運動について、要望を出しましたが、5月22日現在、まだ通知が出されていません。農薬対策室は、残留農薬等のポジティブリスト制度の施行に伴う農薬飛散防止対策が愁眉の問題となっていることもあって、忙しいのでしょうが、例年とかわらぬ、間際になっての通知だけは、ごめんです。
 防止運動をひかえたこの時期に、以下に示すような、農薬による野鳥や飼い犬の死亡事件、農薬の盗難や不法投棄が次々とおこっています。このような事件の再発防止のためにも、運動を実のあるものしてもらいたいものです。
★秋田のカラス大量死は殺鼠剤が原因
 秋田県の大潟村では、3月28日から31日かけて、3個所の松林で、渡り鳥のミヤマガラス89羽の大量死がみつかりました。原因調査をしている秋田県に問い合わせたところ、4月19日に以下の回答がありました。
 ・県中央家畜保健衛生所において、死亡カラス7羽について解剖を行った。
  それらの胃内容物はほとんど認められず、摂取された食物等の特定できず。
 ・高病原性鳥インフルエンザ、ニュ−カッスル病の検査を行ったが、いずれも陰性。
 ・6羽の各胃粘液等の分析(23種の有機リンを対象とした検出キット使用)では、
  6検体すべて陰性。カーバメート系は分析していない。
 ・胃粘液等の水希釈物をマウスに経口投与したところ、3匹中2匹が投与後
  16〜24時間後死亡。
 その後、4月21日に、秋田県は、日本アイソトープ協会仁科記念サイクロトロンセンターで、死亡したカラスの内臓組織を調べたところ、高濃度のタリウムが検出されたと
発表しました。大量死の原因であるタリウムの由来は、農家で通常使用されてい硫酸タリウム系殺鼠剤による可能性が高いとしました。
 一度にカラスが大量死したことを考えると、殺鼠剤で死んだネズミを食べた二次被害ではなく、硫酸タリウム入り毒餌そのものをどこかで、食べた公算が大でしょう。県は、『殺鼠剤について鳥獣等への影響も十分に配慮のうえ使用してください。』と農家の注意を促していますが、毒餌がどこにあったかを調べなければ、再発防止はむづかしいのではないでしょうか。

★東京と長野で農薬入り毒餌事件
 東京都では、4月8日〜11日にかけて、世田谷区蘆花恒春園と港区港南公園で、ドバトがそれぞれ、31羽と12羽死んでいるのがみつかりました。環境局自然環境部計画課から、鳥インフルエンザウイルスの検査を実施し、すべて陰性だったとの
発表があったため、その他の原因調査は、どうなっているかと担当に尋ねたところ、知らない。毒物については警視庁、ウエストナイル熱については福祉保健局が所管だということ。死んだ野鳥をそれぞれの別の部署にもって行き、調査しているらしい。縦割り行政がこんなところにもあるとは、腹立たしく思いました。
 新聞報道によると、蘆花公園のハトについては、警視庁科学捜査研究所の調査で、殺虫剤メソミルが検出されたということです。テレビの現場報道で、青く着色したトウモロコシの粒が落ちていたので、恐らく毒餌が原因だったのでしょう。

 長野市では、4月13日、若里公園で、散歩した犬2匹がけいれんや嘔吐など中毒症状を起こし、うち1匹が死亡、さらに別の1匹が死亡するという事件がおこりました。さらに、モズとムクドリの死骸もみつかり、それぞれの胃の内容物と現場に落ちていた煮干から、殺虫剤EPNが検出されました。長野県警は、この毒入り煮干(EPN検出濃度:1.2%)を中毒原因とし、動物愛護法違反などの疑いで、調査中とのことです。

★長野県での農薬不法廃棄
 長野県では、この1ヵ月間に、農薬の不法投棄が連続して起こっています。新聞報道されたものには、
 ・4月 1日 長野市青木島町で、放置されている硫酸ニコチン、硫酸銅の容器や
       袋がみつかる。
 ・4月22日 伊那市の用水路に、殺虫剤や殺菌剤のプラスチック製容器14本が見つかる。
 ・4月25日 諏訪郡原村で、地域清掃中に、道路脇にベンタゾン・MCPAエチル剤、
             MCPAエチル剤、IBP・ダイアジノン剤、BPMC・MPP剤、カルボスルファン剤、
       ダイアジノン剤の袋16個46kg及びクロルピクリンやMEPの空容器など
       不法投棄。
 ・5月8日  茅野市の工業団地内に、殺虫剤や殺鼠剤・殺菌剤の入った袋39と容器5個の
       不法投棄。
があります。地元警察署は、廃棄物処理法と毒劇物取締法で調べているとのことです。
さらに、長野県警生活環境課は4月26日、連続して発生した農薬等の投棄事案等を受け長野県薬剤師会や全農長野県本部など5団体に対して、毒劇物の保管管理徹底の要請を行っています。
 諏訪郡管轄のJA信州諏訪は、6月24日に不用農薬を回収するということですが、不法投棄防止には、農薬取締法で期限切れ農薬などの回収を義務づけることがぜひとも必要です。

★和歌山県での盗難事件
 和歌山県では、4月17日、有田川町のありだ農協で、選果場内に保管されていた16種の農薬約600kgが盗まれていることがわかりました。農薬130種2500ケースのうちの53ケースだということですが、中には、劇物もあり、鍵のかかる保管庫にいれておけば、ケースごと盗まれることもなかったでしょう。組合員への配布前の仮り置き場として選果場を使ったとしても、あまりにも、ずさんな管理だと思います。

購読希望の方は、〒番号/住所/氏名/電話番号/○月発行○号からと購読希望とかいて、
注文メールをください。
年間購読会費3000円は、最初のてんとう虫情報に同封された振替用紙でお支払いください。

作成:2006-08-26